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屯所に帰ったのは深夜だった。
結局あの後銀時に一発も入れることはできず、また銀時もやっぱり私に一発も入れて来なかった。
部屋に戻ると沖田さんがいた。
寝転がってテレビを見ている。
「あれ、ここ私の部屋です」
「遅ぇな。どこ行ってたんでィ」
相変わらず私の話など聞かずにズケズケと自分の話をしてくる。
「万事屋だろ」
答える間もなく沖田さんが言った。
「旦那の甘ぇ匂いがぷんぷんすらァ。どんだけくっついてたんでィ」
私の傍まで歩みよりじっと顔を眺めてきた。
さっき銀時に沖田さんの話をしていたことを思い出して顔が赤くなる。
私はこの人に恋をしているのだ。
「なんで赤くなるんかね。旦那となんかあったかィ」
「な!ないです!ないです!手合わせしただけです。そんな見ないでください」
慌てて顔を背ける。
「こっち向け」
「いや、もう…勘弁してください」
「怪しい。じゃあ、なんで今こんな赤いんでさ」
「違いますって…あぁもう、」
沖田さんは私が逃げないよう腕をつかみどんどん距離を縮めてきた。
本当のことを言わないと逃がしてくれなさそうだ。
「お、沖田さん…顔がいいから!」
「は?」
「沖田さん顔かっこいいじゃないですか…一般的に」
本当は好きだからだ。
でもこれはこれで嘘は言ってない。
「何でィ今さら。お前オレの顔好きなんかィ」
「あーもうやめてくださいって」
沖田さんは拍子抜けした顔をして掴んでいた手を離した。
「まぁいいでさ。早く風呂行ってその甘ったるい匂い落としてこい」
「あ、やばい!もう銭湯閉まってる…」
「…屯所の使え。この時間ならもう誰もいねぇでさ。一応入ってる間入り口に掃除中のふだ下げとけ、いいな。」
「う、…はい」
「オレが一緒に行って洗ってやろうかィ?」
「結構です」
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