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「なに女みてぇな声出してるんでィ」
「ど、どっ、ど、どうして…」
「寝ぼけてロケット撃ったら壁に穴があいちましてね。その穴抜けてみたらお前の部屋でした」
「そんなトンネルを抜けたらそこは不思議な町でしたみたいに言われても!」
「その包帯どうしたんでィ」

慌てて上に服を羽織ったものの、サラシをばっちり見られてしまったようで案の定突っ込まれてしまった。

どうしよう、何と言い訳をすれば…。
女だとバレたらせっかく入隊出来たのにクビになる。
いや、クビどころか切腹かもしれない。


「き、傷跡が…あるんです」

冷や汗をかきながら苦し紛れの言い訳をする。

「…傷跡?」
「そうです!絶対見られたくないから巻いてるんです!」
「だからお前ェ誘われても皆と風呂行かねぇのか」
「そうです!そうなんですよ!」
「そんな気にするなんて女みてぇだな」


怪しげに沖田さんは私をじっと見てきた。

「いやいや!沖田さん最近美容男子っての流行ってるの知らないんですか!?」
「美容男子ねィ…」
「オレそういうの気にするタイプなんで!」

ふぅん、と沖田さんは呟いた。
一応納得したようだ。
お風呂はいつも隊士達に誘われても一緒に行くわけにはいかず、夜中にコソコソ銭湯に通っていた。


「どれ見せてみろィ」
「え!?い、嫌です!!」


ほっとしたのもつかの間。沖田さんは恐ろしい言葉をケロリとはいた。

「オレが男装の心の闇をはらってやりまさ。自分の身体に自信持ちなせェ」
「イヤイヤイヤ!いいです!本当にそんなのいいですから!」

ぎゃーっと逃げようとするが沖田さんの長い腕が私の手を掴み、あっという間に押さえられてしまう。


「一応言っとくがお前がいくら女みてぇな顔してるからって襲う訳じゃねェですぜ。オレぁホモではないからな。」
「ホモだろうと何だろうとどうでもいいです!離してください!」
「嫌でィ」
「ドエス!この人ドエスだよ!誰かー!」


火事場の馬鹿力は存在した。
うおおおと何とか隙を見て沖田さんの手を払い部屋の隅へと逃げる。


「何でィ。意外に力あるじゃねぇか」
「…能ある鷹は爪を隠すんです」

ハァハァと息をあらげる私をよそに沖田さんは涼しい顔をして欠伸をした。


「そんな嫌なんかィ。まぁいいや。お茶いれてくだせェ」
「…熱々のですね」
「分かってるじゃねぇかィ」


ため息まじりにお湯を沸かす。
沖田さんはもう自分の部屋の如くイスに座りテレビをつけてニュースを見ていた。

横を見ると大きな穴があいている。
沖田さんと私の部屋が繋がってしまった。

これから気の抜けない日々になる……。


つづく


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長夢
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