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―3話

沖田さんが珍しく仕事でいない日、山崎さんと見回りに行った。


「山崎さん、宜しくお願いします」
「宜しくね。男装君と行くの皆に羨ましがられちゃったよ」
「え?」
「男装君可愛いじゃん。男しかいないとむさ苦しいから、皆少しでも男装君みたいな子といたいんだよ」
「可愛いって‥そんな事言われても嬉しくないんですけど」
「でも本当に女の子みたいだよね。皆気にしてるけど、いつも沖田さんが男装君に近づくなってオーラ出してるから近寄れないんだよ」


そうなのか。
今日はやけにいろんな人から声をかけられると思ったけど、それは沖田さんがいないからなのか。


「沖田さんも顔は可愛いけど性格がアレだからね」
「ほんと、アレですよね‥」


山崎さんも沖田さんには苦労してるようだ。


「アレってなんでィ」
「うわ!!」


二人で笑いあった瞬間、今まさに噂にしていた沖田さんが後ろに立っていた。


「え、沖田さん!どうしたんですか?」
「真面目に仕事やって帰ろうとしたら見慣れた顔が見えたんでねィ」
「男装君発信器でもつけられてるんじゃ‥」
「おい、山崎。勝手に人のパシリつかってんじゃねぇよ。切腹しろ切腹」
「パシリって‥これは土方さんの指示です!ちょっと刃物向けないで下さいよ!」



沖田さんは山崎さんに刀を向けながら私の服をグイと引っ張り自分の方へと手繰り寄せた。


「あのマヨ殺す」


この人は私を一体なんだと思っているんだ。

端から見たら二人が私を取り合うかのような構図で、このままでは通行人に真選組は男同士乳くりあう団体だと思われてしまう。



「沖田さん、近いんですけど」
「あ?」
「もしかして沖田さんあっちの方ですか?」
「え、沖田さん、だから男装君を‥」
「ちげぇよ!二人とも死にてぇのか!」
「オレはちょっとそういう趣味ないんで‥」
「男装話聞け。後で覚えてろよ」





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