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沖田さんの身体に血が拡がる。
ハチミツ色の、沖田さんがどんどん紅く染まる。


「私のことは忘れてください」


屯所に救助の通報を入れて立ち去ろうとした時に裾を掴まれた。

「名前っ‥」

一般人ならこの出血量だと喋るどころかとっくに意識もなくなっているはずだ。

なんという精神力を持った人なんだろうか。


「行くな‥」
「‥」
「行くな、好きなんでさ‥、」
「っ‥」


私がおどろいて目を見開くと沖田さんはふっ、と笑って意識をなくした。

「キッツいなぁ‥何それ‥」


涙がどんどん溢れてきた。
どうしても守りたい人達がいる。
私はいかなくちゃいけない。

もっと沖田さんといたかった。
私も好きですって、伝えたかった。
手を繋いだり、同じ陽だまりの下で笑いたかった。




私の瞳から溢れた涙が血まみれの沖田さんの顔に垂れた。
パトカーの音が遠くに聞こえる。


「さようなら、沖田隊長‥」


沖田さんに敬礼をして、約束の場所へ走った。


今なら分かる。
沖田さんは女ということを隠している私をずっと守ってくれていた。
ドジをしても、失敗しても、いつも沖田さんは何気ない顔をして助けてくれた。

沖田さん‥
あんなに強い人なのに、今浮かぶのは剣を振るう姿ではなく、お日様の下でハチミツ色の髪を揺らして眠る姿。
お茶を入れろとせがむ姿。
私の名前を呼ぶ姿。


私は沖田さんから最後に言われた「好き」という言葉を何重もの鍵のかけた箱に入れて心の奥底に閉まった。






暖かくて、とろけそうな沖田さん。
さようなら。


さようなら。私の好きな人。




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