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「まぁどうでもいいけどよ」
そう吐き捨てて私をベッドに押し倒す 。そのまま私の上に覆い被さってきた。
「‥触らないでよ」
「昔散々やっといて、今さらだろが」
「馬鹿、そういう問題じゃないよ」
「‥髪、綺麗だったのによ、こんな切っちまって」
高杉は私の襟足をつまむ。
憎い相手なのに、どうしても昔を思い出してしまう。
剣も、初めてのキスも、ぬくもりも、全部私は高杉から教わった。
とにかく昔の私は高杉で成り立っていたし、高杉でいっぱいだったのだ。
「着替えろよ、降りるぞ」
私の視線に気づくと高杉は不適に笑った。
「ついでにその左腕の怪我、薬塗っとけ。天人製のはよく効くぜ」
「別にいい」
沖田さんに斬られた左腕の傷は未だに血がじわじわと滲んでいた。
ズキンズキンと痛みが走る。
沖田さんの顔が蘇る。
この傷はずっと治ってほしくないと思った。
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