3
艦隊が降りたのは戦が終わって滅びかけた惑星だった。
もう人は誰一人いない。
ここでまだ使えそうな火薬や鉄鋼を集めて海賊達へと輸出をするらしい。
戦場の匂いを久しぶりに感じた。
「あれー?」
船から降りると声がした。
「あんたシンスケに無理矢理連れてこられたんでしょ?」
「だれ?」
「こういうの何て言うんだっけ?」
男はこちらの質問には耳を傾けることなくニコニコと笑顔を作っている。ピンク色の髪と傘、神楽ちゃんを連想させた。
「あ、横恋慕だ。ヨコレンボ!いい言葉だよね。」
「神威、騒ぐな」
後ろから高杉がキセルをふかしながら歩いてくる。
私の顔を見て意地悪そうに笑った。
「なんだお前、機嫌悪そうなツラしてんな」
高杉から渡された着替えは昔私が着ていた女物の着物だった。
機嫌が悪くなるのは当たり前である。
私を捨てたクセに、どうしてこんな物をまだとってあるんだろう。
文句のひとつやふたつ言わないと気がすまない。
「横恋慕じゃ不服?じゃあ嫁と大根は盗まれる方がいいってのはどーかな?」
「もう、誰だか知らないけどやめてよ」
その時銃声がなった。
壊れた銃の誤爆だろうか。弾は一直線に丸腰の高杉へと向かった。
「高杉!」
「っ」
咄嗟に刀を抜き高杉の顔の直前で銃弾を叩き切った。
二つに割かれた銃弾がゴトリ、と音を立てて足元に落ちる。
「クク、お前がオレを守るとはよ。散々つんけんしといて可愛いとこあんじゃねぇか」
「ふーん。シンスケの女、悪くないネ」
「うるさい」
「やっぱり結局お前はこっち側の人間だなァ」
「うるさいってば」
ムカつくことに高杉を守ろうと身体が勝手に動いてしまった。
「私やっぱり部屋に帰る。ここ焼ける匂いがして嫌い」
部屋に戻り、刀の鍔をぼんやり見つめてため息をついた。
つづく
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長夢
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