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近藤さんと土方さんを前にこれまでの説明をした。
沖田さんには自分の口から二人に話したいと、隣で黙って聞いていてもらった。
ー女としての入隊を断られたこと。
高杉を追っていたこと。
真選組を襲うと言われたこと 。
沖田さんが迎えに来てくれたこと。
「……あの、土方さん?」
「………」
土方さんも近藤さんと同じように滝のように汗を流し、固まった表情で私を上から下まで何度も見た。
「お前、女か…」
そう言って土方さんははあ、とため息をついた。
「そうか、そうだよなぁ。オレは本当は分かってたのかもしんねぇ」
「えっ」
「いや、お前が女で良かった」
「私…罰があれば受けます」
「うーん、何か凄く悪い事した訳じゃないしな…名前ちゃんが隊を想ってくれてるのは皆が知ってる事だし。なぁトシ?」
「で、でも私は…隊も抜けようとしたし、高杉も結局取り逃しました」
「それについては屯所を攻めるって言われたときに誰にも相談しなかったのがいけねぇ。もっとオレ達を信じろ」
「…はい」
「高杉のこと自体…入隊した時に相談しててくれたらよォ…」
「はい。本当にすみません」
「はぁ、そもそも…始まりはオレが真選組に女は入れねぇって決めつけてたのが間違いだったのかもな。」
土方さんはそう言ってタバコに火をつけた。
「近藤さん、オレぁ決められねぇよ。この件はオレにも責任がある」
「じゃあ処遇は名前ちゃんの隊の隊長に任せるよ」
「え?それって…」
「1番隊隊長、沖田総悟」
近藤さんが沖田さんの名前を呼ぶ。
隣にいた沖田さんが返事をした。
「はい」
「この1番隊隊士の処遇を決めてくれ」
「…男装は、いや、名前は…」
沖田さんが私の顔を見た。
「名前はこのまま1番隊継続。変わらず真選組の発展と国の安全に尽力せよ」
「…はい!」
「じゃあこの議題は終わりだ。皆には今度の会議でオレから伝えよう」
近藤さんはニカッと笑って私の頭を撫でた。
「改めて宜しくな、名前ちゃん」
「女だからって甘やかさねぇからな」
「土方さんは前から名前に甘いでさ」
「うるせぇな!お前最初から女って気づいてたんだろ、黙ってやがって!お前こそ切腹しろ!」
「土方さんは名前にメロメロだったんで当然もう気づいてるもんかと思ってやした」
「は!?ふざけんなてめぇ!」
「名前はダメですぜ。オレと結婚すんでさァ」
「…は?」
「けっ、結婚ンンン???」
近藤さんと土方さんがまた滝のような汗を流して固まった。
この時の沖田さんのドヤ顔を私は一生忘れないと思う。
つづく
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