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「ねぇみんな、私病気なのかもしれない」

皆で夕飯を食べながら呟いた。
その日は珍しく私の好きなハンバーグだったが全然箸が進まない。
胸の苦しさに食欲なんかどこかにいってしまったようだ。


「まじスか?」
「私がみてあげましょう、どれ」
「先輩、晋助様に殺されますよ」

また子達が心配そうに顔を見てきた。

「なんか最近おかしいんだ。ボーッとする」
「テメェは元々ボーッとしてんじゃねぇか、クク」
「それに胸が苦しい」
「胸?」
「晋助がいると、胸が苦しくて。辛い。天人に変な呪いとかかけられたのかな」
「晋助がいる時だけでござるか?」
「え」
「えええ、そ、それって絶対恋っスよ!」
「恋?」
「あーあ!もう晋助様!どう責任とってくれんスかぁ!?」


また子から恋という言葉が出て来てびっくりした。
恋なんて、本の中でしか聞いたことがない。
以前恋について書いてあった本の言葉を一生懸命思い出した。

ー誰に教えてもらったわけでもないのに
誰もが誰かに恋をする


「クク、お前オレに惚れてんのか?」

晋助は珍しく大笑いしながら私を見てきた。
恥ずかしくなり顔が熱を持つ。

「ち、違うよ!」
「顔赤いぜ?」
「やめてよ!絶対違う!」


そんなまさか、
この気持ちが恋なはずがなかった


ー恋は心にキラキラ輝き
甘く甘く、とろけていく



私の気持ちは本に書いてあったのとは全然違う。

こんな息をするのも辛くて、苦しくて、涙が出てきそうなものが恋であるはずがなかった。


「やれやれ、晋助もロリコンでござるか」
「私はフェミニストです」
「やめろ、一緒にすんじゃねぇ」
「晋助様!どうするんスか!?」



皆がギャーギャーと乱闘を始めてしまったので
そそくさと部屋へと戻った。



つづく


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