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「目、つぶるな」
「んっ、くっ、」
「おい、聞こえねぇのか」

晋助が腰を揺らしながら頬を寄せる。
こんな状態で向かい合って目なんて開けられるはずがない。


「っやだ‥恥ずかしい」
「開けろよ」
「っあ、‥あっ、やっあ、んっ、」
「顔、見てぇ」


私は晋助の言うことには逆らえない。
昔からそうやって育ってきたのだ。

瞳を開けると生理的な涙で視界がぼんやりした。

ゆらゆらとした視界に汗が滴る晋助の顔が見える。
包帯はほどけていた。
二ィ、と笑って強く動かす。


「ひゃっ、んっ、‥やっ」
「おら、目ェ閉じんなって」
「あっ」
「お前は、ずっと、オレを見てろ」


晋助は、意地悪だ。





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「意地悪」
「気持ちよさそうだったじゃねぇか」


情事後、晋助の腕に抱かれながら晋助のお腹にくるくると指を回した。


「恥ずかしくて嫌だった」
「おい、指やめろ。くすぐってぇ」


回していた手を掴まれた。

「嫌ならもうやんねぇか?」
「っ」
「クク、正直だな」


本当に晋助は意地悪だ。
キッと顔を睨み付けると掴まれた手を引かれてくるりと体勢を変えられた。


「もっかいやっとくか」
「えっ、、も、もう無理だよ」
「明日からちょっといねぇからよ」
「っ、、あっ、やっ」
「クク。良い子で待ってろよ」






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次に起きた時、晋助はもういなかった。

だるい身体を何とか起こすと羽織らされている着物は晋助のものだった。
枕元にはチョコレートが置いてある。


チョコレートの包装紙をはずし、口に含んだ。
口の中で溶けていくチョコレートはほろ苦かった。



(今度は、どれくらいいないんだろう)


晋助の着物を抱きしめながらその無事を祈った。


つづく


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