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「はぁ、ビビった。大丈夫か?」
「えっ、あ、はい」
「うわ、顔真っ赤じゃん。可愛い〜何々、高杉マジで手ェ出してないわけ?」
「っ‥いや、」

返答に困っているとまた声がした。

「銀さん何してるんですか」
「あ、ちょうどいいや。新八お前眼鏡貸せ」


新八と呼ばれた少年の眼鏡を坂田さんは私へとかけた。


「まぁ、一応変装になるかな」
「銀さん、いきなり何なんですか?」
「新八?どこ?あれ?メガネないと居場所分かんねぇな」
「ここにいますって!」

新八君は自分と同い年くらいだろうか。そのくらいの年の子と触れあうことはなかったので新鮮だった。

二人のやり取りがおもしろく久しぶりに大声で笑っている内に万事屋へと着いた。


万事屋には女の子と大きい犬もいた。
ソファーに座るとイチゴ牛乳を出してもらった。
さっき坂田 さんから抱き締められた時に香ったのはイチゴ牛乳の匂いなのかな、と何となく笑える。


「この子どうしたアル?」
「依頼人」
「依頼?」
「‥高杉を探せとよ」

坂田さんがそう言った瞬間二人の顔が固まった。

「え、そんな依頼アリですか?」
「‥この女絶対ヤバいアル」
「まぁそう言うなって、報酬もちゃんと貰うしよ」
「さ、坂田さん‥私お金ないです」
「あ、高杉からたんまり貰うから心配しないで。アイツ絶対儲けてんだろ。3桁くらいもらっちゃうもんね」
「金のためなら頑張るアル」
「まぁ、そういう事なら仕方ないですね」


万事屋さんは現金な人達らしい。

「名字名前です。お願いします、万事屋さん」
「任せてください」
「名前は高杉の女アルか?」
「えっ‥」
「それ銀さんも聞きたいな」
「銀さん‥依頼人を狙っちゃ駄目ですよ」
「いや、その‥私は‥」


そう聞かれると分からない。
私は晋助の何なんだろうか。

「自分でもよく分かんないです」

そう答えると銀さんははぁ、とため息をついた。

「アイツほんと肝心なとこアレだからなぁ」


鬼兵隊の皆は晋助に憧れてる人が多く、晋助に対してこんな態度をとる人は初めてだ。何だか面白くて笑ってしまった。


「アハハ、晋助に聞かせてやりたい」

そのあと坂田さんは昔の晋助の話をしてくれて、今日私はまた新しい晋助の一面を知った。

「名前泊まっていかないアルか?」
「神楽、無理言うな。」
「ごめんね、私心配されるから帰らなきゃ。また来るね」
「神楽ちゃんやけになついてますね」
「なんか名前はいい匂いがするアル」

ぎゅっと腰に抱きついてくる神楽ちゃんを惜しみながら銀さんに家へと送ってもらった。




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