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あれから自分の荷物をまとめて、いつ晋助が帰ってきてこの家を出ていけと言われてもいいよう準備をした。
坂田さんは私が心配なのかよく顔を出してくれた。
実際二人でお茶菓子を食べながらまったりと世間話をするのは気分転換になって凄く助かった。
「真選組の副長がよ‥」
「はい」
「もし高杉と縁切れたら保護してやるって言ってたぜ」
「何ですかそれ」
「高杉に騙されてたとかそういう体にして、守ってやるって事だろ」
「‥え?」
「ありゃお前に惚れてるね」
「そ、そんな訳ないですよ」
あれ以来自分の金色の瞳を見るのが怖くて鏡が見れない。
「副長さんに言っておいてください」
「ん?」
「もしそうなった時は、禁煙したら考えますって」
「ハハ、アイツに限ってそりゃありえねーな」
「ありえないですよね」
「まぁ、オレは高杉がお前を離すわけないと思うけどね」
「‥そうだったらいいですけど」
ふふふ、と笑ったその時ドアが開く音がした。
乱暴に開けられたドアがバタンと大きな音を立て、身体がビクッと反応する。
「オレがいねぇ間に何他の男勝手に家に入れてんだ」
「‥晋、助」
「クク、浮気か?よりよってコイツとはなァ」
久しぶりに見た晋助は突然刀を抜き、そのまま坂田さんへと突きつけた。
「ま、待って、晋助」
「おいおいおい、物騒なもん向けんなよ」
「クク、死ぬ前に言っておきたい事はあるか?」
「お前が帰ってこないっつーんで探して欲しいって頼まれてたんだよ」
「そうだよ!晋助!やめてよ!」
慌てて晋助の前に立ち坂田さんを庇うと、晋助は少し止まって刀を納めた。
そのまま私をぎゅっと抱き締める 。
「えっ、」
「何!?高杉どうしたの!?オレのいる前で!?何なの!?」
予想もつかない事態に恥ずかしくなり顔の熱が上がる。
人がいる前でこうやって晋助に抱き締められるなんて初めてだった。
「わっ!晋助様面前で何してるんですか!?つか何でこの男いるんスか!?」
「晋助、お主‥」
「やっぱりロリコンでしたね」
後から帰って来た他の仲間もぞろぞろと部屋へと入ってくる。
みんな私を抱き締める晋助を見て驚いていた。
「し、晋助‥みんな見てるよ」
晋助の着物の裾を引っ張るが力が強くてびくともしない。
おろおろと顔を見上げると目が合った。
「し、晋助?」
「‥疲れた」
晋助は少し笑って、そう呟いた。
「っ‥」
私は今、どんな気持ちになればいいんだろう。
久しぶりに晋助の温もりを感じ身体がぽかぽかと震えた。
どうかこうやってずっと、疲れて帰ってくる晋助の帰る場所でありつづけたい。
でも、私は‥天人だ。
それを黙って彼の側にいるわけにはいかない。
ぎゅっと力一杯晋助を抱き締め返し、深呼吸をした。
「晋助、私話さないといけないことがあるの」
「‥その前に風呂」
晋助は私を離してスタスタ部屋を出ていった。
「あ‥」
「晋助と名前は結局出来てたでござるな」
「そんなの前々からだったっス!」
「それなのに同じ部屋とはけしからんですねぇ」
「え!?アイツら同じ部屋なの!?お前らんとこのモラルどうなってんの!?」
「白夜叉!何でまだいるんスか!?」
みんなにわいわいと騒がれる中、お風呂上がりの晋助を待とうと、こっそり抜け出して自分と晋助の部屋へと向かった。
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