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チョコを食べて元気は出たが、結局立つことは出来ず男の脇に抱えられて部屋を出た。
長い廊下が続く。
なかなか大きい屋敷のようだ。

ガラガラと違うふすまを開けると何人かの人がいた。


「え!?晋助様!どうしたんスかその子供!」
「まさかロリコンに目覚めたでござるか?」
「そんな先輩じゃあるまいし…なんなんスか?」
「私はロリコンではありません。フェミニストです」


私を見てざわざわとどよめきだつ。
皆からの視線を感じて何となくうつ向いた。


「拾った。誰も変なことすんなよ」
「拾った…?人間はネコじゃないでござるよ」
「コイツ小せぇ時のオレに似てんだよ」
「は、はぁ」
「風呂入ってくる」


この男は晋助というらしい。
私を拾ってくれたのは自分の小さい頃に似ているからなのか。
抱えられながらピシャリと閉まるふすまの音が聞こえた。



「晋助のやついつもと違ったでござるな」
「フェミニストになったんですかねぇ。一緒にお風呂なんて羨まっ…おっと失礼」
「問題っスよ!あれ自分に似てるとか仰ってましたけど…男の子だと思ってるんですかね?」
「男の子じゃないでござるか?」
「え!?あれ女の子っスよ絶対!」




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「…………」
「どうしたの?」



服を脱げと言われて脱いだら晋助の顔色が変わった。



「て、てめぇ…」
「あ、えと、名字名前です」
「…チッ、女かよ。……くそ、仕方ねぇな。入るぞ」


そう言い捨てられた後一緒に湯船に入れられた。温かいお湯につかるのは一体いつぶりだろう。


「ねぇ晋助お兄ちゃん」
「お兄ちゃんはいらねぇ」
「目、痛くないの?」


先ほど気になった包帯の下には痛そうな傷があった。


「痛くねぇよ。つかテメェ女なら女って言えよ」
「お、女です」
「なめてんのか。そもそも女のクセに服脱げっつったらズルズル脱いでんじゃねぇ」
「孤児院では皆一緒に入ってたよ」


晋助は横ではぁ、とため息をついた。



「上がるぞ、名前」



怖い台詞ばかりを言うが初めて名前を呼んでくれた。




こうして私と晋助率いる鬼平隊との生活が始まった。


つづく


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