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―2話

皆が何をしているかは分からなかったが鬼平隊での暮らしは楽しかった。

あまり外に出してもらえる事はなかったが、万斉に歌をうたってもらったり、また子に髪を結ってもらったり、武市とお人形で遊んだり…今までにない生活が新鮮だった。


そして私は何より晋助が大好きだった。
自分が拾ったという謎の責任があるのか晋助は舌打ちをしながらも何だかんだとよく面倒を見てくれた。
同じ部屋で生活し、夜は一緒に眠った。お風呂もたまに入れてくれ、長く家を開けた時には外国の珍しいお土産もくれた。


「毎日楽しいー!晋助大好き!」

キセルをふかす晋助を後ろから抱き締めると首根っこを掴んで剥がされる。そして「うるせぇ、ガキが」と決まって鼻で笑われた。



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そんな生活が何年か経った。

私はガキから大人の女になりつつあり、晋助達が犯罪者であることも理解してきた。
そして周りの皆から晋助に抱きついたり一緒にお風呂に入ったりするのも禁止された。



「えーダメなの?つまんないの」
「ククク、オレぁ別に構わねぇけどなァ。ガキはガキだろ」
「倫理的にダメでござる」
「そうですよ。私の観察によると名前の胸も大分成長して…」
「先輩キモイッス。やめてください!」


成長して何かが変わりつつある…
名前はぼんやりとそう感じていた。


「名前。これやるから我慢しろ」

高杉はそう言って着物からチョコを取り出した。名前はそれを受け取り、しばらくつまらなそうにキラキラ光る包装紙を眺めた。


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