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「別にどんな関係だろうと余所様に言うこたぁねーだろ」
「わ、私も知りたい。晋助は私をどう思ってるの?」
自分の上に覆い被さる晋助の目を見た。
晋助はしばらく黙って私の顔を見る。
「‥言わなくたって分かるだろ」
何故だか珍しく目線を外し、晋助は早口でボソリと言った。
「わ、分かんないから聞いてるんだよ」
「‥うるせぇな」
晋助ははぐらかすかのように斜め上をみた。
頬が少し赤くなっているのは気のせいだろうか。
「‥分かれよ、ガキが」
ずっと一緒に暮らしてきたが晋助のこんな表情を私は初めて見た。
心臓がぎゅっと熱を持つ。
「‥晋、助‥」
心がむずむずする。
変だろうか。
いつも手が届かない晋助の事を、可愛いと思うなんて。
「こっち向いてよ」
「‥笑ってんじゃねぇよ」
「へへ」
さっきまで頭を占めていた悩みがどんどん消えていく。
「ねぇ、言ってよ」
「何をだよ」
「私を好きだって言ってよ」
「寝言は寝て言え」
「言って」
「‥チッ」
晋助は明らかに困った顔をして覆い被さっていた私から離れた。
ベッドに座り、はぁ、とため息をつく。
「1回でいいの、お願い」
座る晋助の膝にポスンと頭をおいた。
晋助は私の髪を撫でる。
そのままこめかみにキスを落とし呟いた。
「お前面倒くせぇ女になっちまったな」
言葉とは裏腹にその顔は少し困ったような、嬉しそうな、あどけない表情で、つい私も笑ってしまう。
何故だろう。
笑顔が溢れるのに、涙も出てきそうだ。
私は、この人が好きだ。
晋助の片目がとろりと私を捉える。
そのまま晋助はとろけるように私を抱いた。
この夜、私は生まれてきて1番幸せだった。
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