3
その日の夕方から晋助は遠征に出掛けたらしく暫く帰ってこなかった。
皆は私と晋助にまさかあんなことがあったとも思わず、私にいつもの日常が戻った。
起きて朝御飯を作り、掃除をし、夜は一人でお風呂に入り、一人で眠りについた。
ただお風呂上がりと朝目覚めた時に髪をとかすようになった。
半月ほど経った頃晋助が帰ってきた。
珍しく怪我をしてるようで腕には乱雑に包帯がグルグルと巻かれている。
帰ってきた晋助と目が合うが、未だにどんな顔をすれば分からず話しかけることは出来なかった。
「まだ機嫌わりぃのかよガキが」
「…おかえりなさい」
「包帯」
そう言って部屋に入っていった。
救急箱を持って晋助の後を追う。
部屋に入ると晋助は着替えてる途中だった。
「わ!」
いきなりの上裸に恥ずかしくなり顔が赤くなる。
「何だよ暫く見ない間に女らしくなったじゃねぇか」
怪我など余裕そうに晋助は笑みを浮かべた。返事をせず名前はふん、とをそっぽを向く。
「風呂入ってくるからよ、そのあと包帯巻け」
「わかった」
「お前も入るか?」
「っ…入んないよ!ばか!」
「ククク」
部屋着に着替えた後に笑いながら晋助は風呂へと出ていった。
しばらくして戻ってきた晋助に包帯を巻く。
目の包帯も新しいものに替えた。
「上出来だ」
終わった後晋助はニッと笑い、ほらよと何かを小さな包みを取り出した。
チョコかな、と思うがどうやら違うようだ。
「これ…」
「ふてくされてるガキに買ってきた」
髪飾りだった。花の飾りがついている。
驚いて晋助を見たらもう布団の中に入っていた。
「疲れた。寝る。一緒に寝るか?」
「もう!寝ない!」
眠りにつく晋助の背中に向かってありがとう、と呟いた。
つづく
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