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 まさか、店内から見られているとは思わず恥ずかしくなる。
 長時間立っていた感覚はないが、確かに短い時間ではなかった気がする。

「……実は、こういう喫茶店に限らず一人でお店に入るのは初めてで。それで入るのを躊躇っていたんです。」

「確かに、一人でお店に入るのって結構勇気いりますよね。ほら、牛丼屋とかラーメン屋さんとか。」

 分かります、と梓さんはうんうん頷く。
 中々入らなかった理由は嘘ではないが、本当でもない。梓さんの事は上手く騙せているようだ。
 まだコナン君は納得していないようだが、一応の言い訳は信じてくれたらしい。

「それじゃあ、なんでわざわざポアロに入ろうって思ったの?最初からここに来るつもりだった?」

 ポアロに何か用事があって、そう装っているのでないかと疑っているらしい。
 確かに、目的地にポアロを設定したのは、ここに知っている人物が本当に存在しているか確認のために来たのだから、ポアロに用事があったのには間違いはない。
 ただ、コナン君が考えているように怪しい事案ではない。
 
「知り合いにここの噂を聞いてね。美味しいって評判だったから、休みの日にちょっと行ってみようって思ったんだよ。」

「ふぅん。」

 納得いかないというようなコナン君の返事に、心拍数が上昇していく。

「それじゃあ、なんで頼んだのがアイスティーなの?」

「え?」

 アイスティーを頼んだのが、そんなにおかしい事なのか??
 
「だって、美味しいって評判を聞いたら色々頼まない?アイスティーが美味しいって評判は僕聞かないし、仮にポアロのアイスティーが美味しいって評判だったとしても、お休みの日にわざわざ行こうって思うなら他にも注文して食べてみようって思うでしょ?それなのに、名前さんはアイスティーしか頼んでない。それって、何か目的があってここに来たんじゃないの?」

 言われてみれば、そう思われても仕方がないのかもしれない。
 暗に、コナン君の事を探りに来たのか。はたまた、組織の事で来たと疑ってそのようなことを言っているのであろう。
 そんなに怪しい行動をした覚えはないのだが、彼の警戒心はどうやらマックスのようである。
 私は一般人で、決して怪しくはないと声を出して言いたい。
 そんなことをすれば事態は悪化の一途をたどる事になるが。怪しい人が「ワタシ、アヤシクナイヨ」と言ったところで怪しさしかない。
 
 現在、物語の進行状況はどうなっているのか分からないのが悔やむところである。
 分かったところでどう対処していいのか分かる訳でもないが。
 嘘をつくのは苦手だが、嘘にならないように本当の事を話す。
 
「ほら、さっき店員さんも言ってたでしょう?女性一人で飲食店って入りにくいって。それで会社の人に、一人で食事デビューするのはどこがいいかって聞いたことがきっかけだったんだけど……」
 
 こういう時に嘘をつきたくないために、事前にポーズをとっていた。
 会社の人に、それとなくどこかに人気の喫茶店はないかと話を聞いたのである。
 すると、こちらの予想通りにポアロの名前がでた。
 雑誌にも載るようなお店なので会社でも有名だったようだ。
 イケメン店員がいて、料理も美味しいと評判だ、と教えてくれた。
 評判の比重は、どうやらイケメン店員に軍配があがるようだったが、私の目的もある意味イケメン店員の方だったのでこの情報は非常に役に立った。

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