部下に託された使命を果す


「降谷さん、もう少し抑えてください。」
「…チッ、」
「無理に聞かずとも私が状況お伝えいたしますので、」
「それじゃあいつの頑張りが聞けないだろ。」

辻川が犯人にいいように触られている様子を盗聴器で聞いているだけで胸がはち切れそうだった。あいつの嫌がる声、嫌見たらしく男から実況される俺も見たことがないあいつの体、全て聞いていて頭が可笑しくなりそうだった。

何度も直ぐにでも突入しようと考えたが、まだ実行に進めないこのもどかしさの中俺は血が出そうになるほど拳を握った。

そして突入後、犯人確保をした後辻川を見ると服の前面は切り裂かれ全てが見えてしまっていた。その体には痛そうなほどに歯形や抓ったような痕から殴られもしたのか痣のようなものまであった。俺は直ぐに彼女にジャケットを掛けまずは被疑者の女性を救急に手渡した。

「降谷さんは辻川のケアをお願いします。」
「…ああ。お前はそのまま犯人たちの方についてくれ。」
「はい。」


そう言うわけで俺は今辻川を車に乗せ、安室透が住むセーフティーハウスへと連れ込んだ。その間の車内に会話はなく、ただエンジン音だけが響いた。

家に着き車を止めると歩けるようになったと言い辻川は自分で降りておぼつかない足取りで俺の後を歩いた。正直俺が負ぶった方が効率がいいが、彼女ももしかしたらあんな目にあった後だ、男に触られるのが嫌なのかもしれない。そう思うと何も言えなかった。

「おじゃましま、す。」
「シャワー浴びるだろ?」
「…浴びたいです。」
「準備してくるから辻川はそこに座っててくれ。」

俺はそのまま浴室に行き簡単に掃除をしたりと準備をする。今日はこのまま辻川をこの家に泊まらせ、俺は明日の朝迎えに来るようにしよう。そんなことを考え、再びリビングに戻ると辻川はソファの端に体育座りをして顔を埋めていた。その後ろ姿は見ているだけでこちらも辛くなるそれだった。

「辻川。」
「…はい。」
「準備できたから風呂に入ってこい。脱衣所に着替えも置いておいた。女性用の下着は前に下着泥棒の囮で使ったものでよければ取って置いたものがあるからそれを使ってくれ。」
「…ありがとうございます。」

ふらっと立ち上がると、さすがにいつものような俺に言い返すような元気な彼女の姿はなく、一人でお風呂に入らせるのも正直心配になるほどの状況だった。彼女を脱衣所まで案内した後、俺はダイニングテーブルのあるイスに座り思い更けた。どうすれば彼女の精神的ダメージを補えるか。それだけが頭の中でぐるぐると回った。

あいつを助けるのは、俺がいい。そう強く思った。