やってしまった。
「おはようございます、降谷さん。」
「…(おい、今日は返事もないぞ。)」
「…(ああ、やばい。最高潮に機嫌が悪い。)」
「おはようございます。」
部下が挨拶に来る中、風見がいつもと変わらず俺に挨拶をしに来た。俺はその姿を見て、大きなため息をつくと、風見は動揺したのか「どうかされましたか!?」「ま、また私は何か失態を…!」と焦っていた。
「いや、お前は何もしていない。」
「し、しかし…あ、もしかしてみのりが何かしましたか…。」
今その名前を言うな。と言うのを込め風見を睨み付けるとさすがに察したのか「申し訳ございません」と謝罪を評した。正直なところ、大切な妹に手を出してしまってこちらが謝るべきなんだが、そんなこと口が裂けても言えない。それに相手は19歳の未成年だ。正直、先ほどの行為をみのりさんに告訴されたら俺は犯罪者だ。
「ハー…風見。」
「ハッ」
「…俺はお前が羨ましいよ。」
「!?ハ、ハイ!?」
「ハー…。」
「ふ、降谷さん!?」
俺は自分のデスクに戻り、椅子に座ったと同時に項垂れた。正直、あの時なぜイラッとして、取ってつけたような言葉を聞きたくもなくて、あのような行為をしてしまったのか。理解しがたいが彼氏がいるということに嫉妬でもしたというのか?自分と一回り近く違う子供に?何をしているんだ自分は。
そもそも嫉妬ってなんだ。好きなのか?風見の妹を?
「ハッ、まさか。」
あの子が好きで好きで、会いたくて話がしたくて、例えそれが兄で部下であっても、そうなりたい、彼女のそういう対象に憧れを抱いてしまった。
そもそも彼氏がいるのに男の家に泊まりにくる、何てただのビッチじゃないか。あんな飯が上手いと褒めただけで頬を染めたり、近くに座っただけでこっちが恥ずかしくなるほどにドキドキと鼓動を揺らしたりしたのは、全て計算だったというのか?
…いや違う。そもそも俺のことを男として見ていないから泊まりに来たんだ。彼氏がいようといまいと関係なかった。それだけだろう。
「あーーー。」
「(降谷さんが壊れた)」
「(降谷さんがやばい)」
「(おい、どうする。降谷さんをどうするのがいいんだ。)」
認めよう、俺はどうやら完全に落ちたらしい。