「お、おはようございますっ。」
「みのりくん、おはよう。」
今日はポアロの出勤日だ。確か安室さんと出勤時間が被っていたはず。…あんなことがあって、凄く凄く、気まずかった。だけどそこに安室さんの姿はなかった。
「あれ、安室さんは…?」
「ああ、安室くんは今日急な用事でこれなくなってしまったんだよ。だから私が出勤しているんだ、今日は2人で頑張ろう。」
「は、はいっ」
「…おや、やはり安室くんがいないと寂しいかな?」
「!?そんなことないです!!」
「はっはっは、若いっていいなあ。」
「店長っ!」
いると気まずいのに、いないといないで、どこか少し寂しい。ああいうことがあったけど、私にとって安室さんは大切な…、
大切な、人だから。
お兄ちゃんのことだけじゃない。大袈裟かもしれないけど安室さんが来てから、世界が輝いて見えた。あの人のことを、考えない日はなかった。
いつのまにか、好きになっていた。
そう自覚したのは、昨日のこと。だってキスだって、びっくりしたけど嫌じゃなかった。安室さんだから、寧ろ…嬉しかった。でも私は子供だから、いろいろ追いつかなくて…。早く安室さんに弁解したいと思ってたのに、私、安室さんの連絡先さえ知らない。
お兄ちゃんのことに必死で、本当に安室さんのこと、何も知らないんだ。
「店長。」
「ん?なんだい?」
「…やっぱり、何でもない。」
店長に聞けば、教えてくれるかもしれない。
だけど、それじゃダメだ。自分で聞かないと。明日もシフトは被っている。その時聞こう。そう思っていたのに、今週1週間、安室さんがポアロに出勤することはなかった。