「あ、あむ、ろさんっ」
「みのりさん、おはようございます!」
久しぶりに見た安室さんは、1週間前のことがなかったように私に胡散臭い笑顔を見せた。私はその顔を見て思わず苦笑いをしてしまった。
「あ、あの、」
「あ、そういえば先週は失礼な真似をしてしまい申し訳ございません。あのことはお互い無かったことにしましょう!」
「…え、」
「そのお詫びではないですが、あなたのお兄さんからこちらの連絡先なら教えられると番号を預かってきました。こちら控えたらシュレッダーで捨てるようにと言われてます。」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。なので、これで僕への依頼は終了ということでよろしいでしょうか?」
「…え?」
「では、元通り仕事の同僚として、よろしくお願いしますね。」
完全に線引きをされた。
もう俺に近づくな、そう言われている気がした。
ずっと欲しかったお兄ちゃんの連絡先。その紙に書いてある電話番号を携帯に登録し、紙をシュレッダーに掛けた後、電話を掛けてみた。
『みのりか?』
「…おにいちゃん。」
『この電話番号がわかったということはふる、…安室さんから受け取ったんだな。』
「うん…。」
『これからは俺に直接連絡をしてこい。もう安室さんを困らせるな。』
「…お兄ちゃん、安室さんは、私のこと…困ってたのかな。」
『…みのり、』
「安室さんに、嫌われちゃった、」
お兄ちゃんに言ってもどうしようもないのに、私は電話越しで焦るお兄ちゃんの声を聞きながら最初に電話をした時のように大泣きをした。