彼女との関係

「すみません、彼女安心したら眠ってしまったようなので取り調べは後日でもよろしいですか?」
「え、ええ…安室さん、ご協力ありがとうございました。」
「じゃあコナンくん、またポアロで。」
「あ、安室さん!」
「なんだい?」
「…安室さんと風見さんって、どういう関係?」
「…さあ?それは大人の事情で言えないよ。」


俺はみのりさんを横抱きし、そのまま車へと運んだ。安心しきった顔をした彼女の目元にはうっすら涙の痕が残っていて、少し心苦しくもある。

犯人と何を話したかは分からないが、きっと怖い思いをしたはずだ。それなのに、最終的には犯人を説得し、人が死ぬ事件に済まずにすんだ。


「全く、君は本当に…、」

俺をどれだけ驚かせれば気が済むんだ。

息を吐き、車を自宅へと走らせた。まさかもう一度彼女をここに連れ込むとは思わなかった。自分から遠ざけたのに、近くに感じるとこんなにも愛おしい。女の子と特有の甘い匂いや体の柔らかさ、どれをとっても彼女であることで一流だ。

自宅の駐車場につき彼女を背負って家まで運ぶ途中、何度も彼女が俺の名前を呼んでいた。あの時は「お兄ちゃん、おにいちゃん」って言っていたのに。これは自惚れてもいいのだろうか。なんて彼氏がいる子にそんなこと思ってどうするんだ、俺は。


彼女をベッドに下ろし、着ている上着を脱がすと気が付いたようでゆっくりと目を開いた。

「すみません、上着着たままだと寝ずらいと思いまして、」
「あむ、ろさん、」
「はい?」
「…迷惑を掛けてしまって、ごめんなさい。」
「…それは先ほども聞きました。もういいです。それより僕も叩いてしまってすみません。」
「安室さんは、何も間違ったことをしてませんっ。それに、わかってます。心配してくれたって…、顔を見れば分かります。ただの同僚に、ここまでしてくれて、ありがとうございます。」


ただの同僚、か。自分でそう突き放したのに、彼女自身に言われると結構来るな。それを紛らわすように彼女から目を反らし上着をハンガーに掛ける。

「もう、前みたいに仲良くしてくれませんか?」
「…え?」
「一緒にお兄ちゃんを探していた頃みたいに、口喧嘩したりお家に遊びに来たり、できませんか?」
「……。」
「安室さんと、ずっと上辺の関係でいるのが、つらい。」


そう言って再び彼女は顔を手で覆って泣いてしまうんだ。その涙を止める役割は俺じゃない、お前の好きな男だろう。

でもそんな彼女を見ているだけでほっとくわけにもいかず、彼女の涙に吸い寄せられるかのようにゆっくりと抱きしめるのであった。