最近、安室さんとシフトが被ることが多くなってきた。
「私も梓さんと働きたいのに…。」
「おや、そんなこと言わないでくださいよ。」
「あ、あむ、ろさん!?」
「おはようございます、みのりさん?」
「おはようございます…あの、すみません、その安室さんが嫌とかではなくて、」
「いいんですよ。みのりさん、梓さんと仲がいいって聞いてるので。すみません、僕が最近多めにシフトに入れてもらっているせいですかね?」
「いいんです。すみません。」
私はお店の前の掃除を始め、安室さんから遠ざかる。そもそもこの人、29歳でアルバイトっていくら顔がイケメンだからってやばいんじゃないかってこの間梓さんと話していた。
お兄ちゃんは、ちゃんと警察になれたのかな。小さい頃から優秀で、いつも勉強教えてもらってたっけ。
「みのりさーん、今日僕が厨房入りますね!」
「え、出来るようになったんですか?」
「ええ。もう店長からOKも頂いてます。」
「早い…。じゃあお願いします。」
「任せてください!」
安室さんは得意のウインクをして、機嫌よく厨房に入って行った。私はため息をつきながら掃除を始めた。あとバイト50回。50回入れば、まとまったお金になる。それまでの辛抱だ。
それから程なくしてお店はピークを迎えた。安室さんは本当に料理も上手で、いつもより美味しいなどお客さまからのお言葉も上々。同じ食材を使っているはずなのに、どうして差がでるんだろう。謎である。
「お疲れ様です、みのりさん。」
「安室さんも。あ、すみませんありがとうございます。」
「いいえ。」
安室さんはスタッフ用の飲み物を注いでくれた。私は裏に入り、喉を潤す。このお店に入ってコーヒーが飲めるようになったけど、安室さんが淹れるコーヒーは本当に美味しい。不思議だ。
「そうだ、この間みのりさん言ってたじゃないですか。お兄ちゃんの話。」
「え?」
「ほら、お金が溜まったら毛利先生に頼んで依頼をするって。」
「ああ、はい。」
「僕こう見えて私立探偵をやっているんですよ。」
「…ええええ!そうだったんですか!?」
「そして今僕は毛利先生の弟子についている。」
「あ、え、」
「だから弟子の身ではありますが、お兄さんの件、僕に任せて頂けませんか?」
どうしよう、初めて安室さんが神様に見えた。私はその問いかけに二つ返事で答えた。