まずはお兄さんのことを知りたいので、次の休み僕の家に来てください、と言われたので安室さんの家の最寄駅までやってきた。
私はキョロキョロとしていると一台の車が目の前に止まり、中から安室さんの顔が見えた。こんなスポーツカーに乗っちゃうような人なんだ…。きっと私がポアロで30年働いてもこの車は買えない気がした。
「すみません、わざわざ。」
「いえいえこちらの台詞です。あ、シートベルトお忘れなく。」
「はいっお願いします。」
車の中は爽やかなミントの香りがした。それに安室さんの私服姿を見るのも初めてだ。やっぱり王子様って感じ。
「みのりさん、私服姿も可愛いですね。」
「…安室さんは私服姿でも王子様みたいですね。」
「そんなことないですよ。というか普段そんな目で見ててくれたんですか?」
「私の意見でなく、お客さんのご意見です。」
「はは、なるほど。みのりさんは年齢の割に本当に落ち着いている。」
「そうですか?」
「僕が19の時なんて、仲間とギャーギャー騒いでましたよ。」
「えー…想像できない。」
「まあ今やそうする人もいないですけどね。」
どういう意味だろう。年齢を重ねたから、という意味なのか。それともその人たちと関わりがなくなってしまったから、とか。まあこの際どうでもいい。
私はこの人にお兄ちゃんを何としてでも探してもらうんだ。
着いたところは驚くほど高級住宅で、私は思わずぼけーっと立ち竦んでしまった。
「みのりさん?行きますよ?」
「あ、は、はい。」
「どうかされました?」
「…やっぱり私、安室さんが怖いです。」
「え?」
「だってこんなところ、ポアロのお給料じゃ絶対払えない。」
「ああ、まあ探偵業ってそこそこ稼げるんです。それで、ですよ。」
「…ふーん。」
私は半信半疑で安室さんのお家に入った。よくよく考えたら男性の部屋に入るなんて、初めての行動だった。お兄ちゃん、私はお兄ちゃんのために動き始めるよ。