降谷さんがお風呂に行って、私は髪の毛をタオルでくしゃくしゃと絡ませ一度落ち着こうとソファに座った。落ち着け…落ち着け…もう19歳だもん、寧ろ遅いくらいだよきっと。それに降谷さんは大人なのに、数か月付き合っててここまで待っててくれた。大丈夫。
お兄ちゃんのことに必死でそういうことから遠ざかっていた自分に今更ながら後悔を覚える。降谷さん、処女はめんどくさいとか思わないかな…。降谷さんほどの男性はそりゃグラマラスな女性との経験もありそうだし、もし、もししたとしても私で満足してあげられるか…不安もあった。
悶々としているとリビングの扉が開いて、そっちを見るとTシャツをパタパタと仰ぎながら降谷さんが歩いてきた。チラチラと見える腹筋がばきばきで、同じ人間なのか疑うレベルだ。
「飲み物とか、適当に冷蔵庫漁っていいからな。」
「あ、はいっでもビールしかなかったから…。」
「…悪い、何か補充しておく。」
「いいですいいです!私も働いてるし、自分で買います。」
「あ、前に蘭さんからもらったリンゴジュースがあったんだった。飲む?」
「…飲みます。」
リンゴジュースって子供じゃないんだから…と思いつつもリンゴジュース大好きだから素直にもらうと降谷さんはにこっと笑った。
「髪、乾かしてやる。」
「え、い、いいですよ子供じゃあるまいし!」
「ここ座って。」
「…降谷さん、楽しんでますね。」
「楽しいよ。君がそうさせてるんだ。」
そんなこと言われたら動けなくなる。私は大人しく降谷さんの前に座るとドライヤーの音が鳴り響いた。降谷さんの手はとても優しかった。
「案外面倒見良いですよね。」
「ん?なんか言った?」
「お節介!」
「ははっ言うなあ。」
「お兄ちゃんにもこれくらい優しくしてるんですか?」
「…風見には期待してるからなあ。」
「私のお兄ちゃんだもん、いつかきっと降谷さんだってびっくりしちゃうくらいに出世しますよ!」
「はは、そうかもな。」
私は知らない。降谷さんがどれほどにすごい人なのか。だけどきっとお兄ちゃんの上司なんだからきっとすごい人に決まってる。いつかお兄ちゃんからも降谷さんの話聞いてみたいなあ。
ぼけっとしてるとドライヤーが止まり、髪も綺麗に乾いたようだった。
「ありがとうございますっ。」
「どういたしまして。」
「降谷さんはやっぱり髪が短いから直ぐに乾いちゃうんですね。」
「そうだな。」
「私も乾かしてあげたかったのに残念。」
「…みのり。」
「はい?」
「寝室いこうか。」
「……、」
「この意味、分かる?」
私はゆっくりと後ろを振り返ると降谷さんと目が合った。その情熱的な視線に全てを感じた。私は真っ赤な顔で頷くと、降谷さんは私の手を取り寝室へと移動した。