「降谷さん、最近家に帰るようになったよな…。」
「そうそう、この間奥田が降谷さんの彼女見たって言ったじゃん。すっげー若くて可愛かったらしい。」
「まじで?あの人若く見えるけどもう三十路だろ?若くて可愛い彼女捕まえて羨ましいな…。」
「しかも超いい子。ほらマドレーヌ食べたろ?」
「食べた。美味かった。」
「あ、風見さん、お疲れ様です。」
「…お疲れ。」
デスクに戻るなりまさか降谷さんの彼女…であり自分の妹の話を聞くとは思わなかった。ここに降谷さんがいなくてよかったと思うばかり。
「風見さんも降谷さんの彼女見たことありますか?」
「あ、でもあの日彼女さんに連絡したのって風見さんですよね?」
「やっぱり親交あるんですね〜どんな子なんですか?」
「…若いけどしっかりしている。」
「「おお〜。」」
「風見さんが言うと説得力ありますね!」
「2人とも無駄口叩く暇があったら報告書進めた方がいいぞ。今日は降谷さんが30分ほどこちらへ寄ってくれるらしいから急ぎ案件は準備しておけ。」
「げ、やっべまじすか。」
「作業戻りまーす。」
俺は息を吐き、再びパソコンに目を向ける。
しかし、妹がまさかあの降谷さんと付き合うと報告を受けたときびっくりして腰が砕けると思った。
そして何より自分のぼろで公安であることをみのりに告げてしまい、あの時は降谷さんの顔を見れたもんじゃなかった。(直ぐにばれたが)
それでも自分では言うタイミングが分からなかったから今では感謝していると言われた時、本当に妹のことを大切に思ってくれているんだなと嬉しくなった。
みのりのおかげで降谷さんが少し人間らしくなったこと、俺は感謝をしていると同時に中学生だった妹はどのように成長しているのか。降谷さんに見合うほどの女性に成長しているとは思えないが、自分の中のみのりの像がなかなか想像しがたかった。
「風見!」
「は、はいっすみません!少しぼーっとしておりました!」
「お前…また飯食ってないんじゃないか?」
「いえ、そういうわけでは…。」
この人、いつ来たんだろう。全く人の気配に気が付かない俺が未熟なのか、降谷さんが人の気配を無くすことが上手いのか…どちらにせよ自分はまだまだだ。
「そのチョコレートが食事とは認めないからな。」
「…は、はい。」
「…今度、うちに来るか?」
「え?」
「みのりも、きっとお前に会いたがってる。」
まさか、そんなこと言ってもらえると思わなかった。
「まあ、お前が仕事後上司の家に来てもいいというならだけど、な。」
「…ぜひ、行かせてください。」
「…ああ。あいつの料理もうまいぞ。」
「楽しみにしています。」
何だか今日は早く仕事が終わりそうだ。