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移動してから1ヶ月。もう1ヶ月経ってしまったかと思うほど毎日の密度が濃かった。風見さんには握力の無さを指摘され、「お前はジムに通え!」と怒られ最近では鍛え始めたところ。まずは皆さんの役に立てるように頑張りたい。

「ふ、降谷さん!」
「…辻川か。元気にしてたか?」
「はいっ!」

こうやって職場で会うのはあの日を抜かすと今日が初めてだ。ポアロでお昼を食べさせていただいた日以降降谷さんとは会えてなかった。前線で組織に関わりながら情報収集をしている降谷さんには公安の中でも最も危険で、私たちも会えることは少ないんだと公安に入ってから知った。

「風見にいじめられてない?」
「な、降谷さん!」
「いじめられてないですっあ、でもこの間怒られました。」
「おい辻川!」
「なんて?」
「もっと鍛えろって。」
「あー。」
「だから最近ジムに通ってるんです!でも、そしたらまた体重減っちゃって…。」
「じゃあ今日飯食いに行くか。」
「え!?い、行きたいです!」
「ん。じゃあ定時で上がれるように仕事しろよ。」
「はいっ!」
「…降谷さん、辻川に甘いですよね。」
「そんなことないさ。それに飼い犬は可愛く感じるものだろう。」
「…犬ですか。」

最後の2人の会話は聞こえなかったけど、私は走ってデスクに戻って溜まっている仕事をし、田口さんと情報収集のため外回りに行った。

「お前って降谷さんの何なの?恋人とか?」
「え!?ち、違いますよ!」
「でもさっきお前と話してる降谷さんの顔、俺たち長いこと一緒に仕事してるけど見たことなかったぞ。」
「…降谷さんって、意外と笑うこと多いですよね?」
「は?」
「え?」

田口さんいわく、笑顔何てほぼ見たことないらしい。だけど私が知ってる降谷さんは、冷静で仕事ができる尊敬できる上司だけどたまに笑う笑顔とかがすごく素敵な人だったので、びっくりした。

「お前、愛されてるよ。」
「あ、いっそ、そんなことないです!やめてくださいっ」
「まあこうも可愛かったら構いたくもなるよなあ。あ、今のセクハラ?」
「…そんなこと、ないです。」
「よしもうこんな時間か。今日お前を残業にさせたら俺が怒られるしもう戻ろう。お前明日オフだろ?」
「あ、はいっ。」
「ゆっくり休めよ。最近また痩せてきてんだから、旨いもん食って少し肥えてこい。」
「はい!」

私、公安に移動してきて本当に良かった。私は駆け足で警視庁まで戻った。すると地下駐車場に白のスポーツカーが止まっていた。プップーと鳴らされたのでよく見ると中には降谷さんの姿があった。私は駆け足でそちらに向かった。

「降谷さんっ!」
「…犬だな。」
「へ!?あ、い、1か月前のことまだ言ってるんですか!?」
「ご主人様見つけて嬉しくて走ってくるなんてお前忠犬だよ。」
「い、犬じゃありませんっ」
「何食べたい?」
「…んー…なんかカロリーって感じのもの食べたいです!」
「焼肉でも行くか。」
「あっ焼肉大好きです!」

シートベルトを着け、発進した車が向かった先は降谷さんの行きつけだという焼肉屋さんだった。明らかに高そうな雰囲気に私は思わずたどたどしくなる。

「ふ、降谷さん…私、今日お財布に3000円しか入ってないです…。」
「部下にお金出させるわけないだろ。」
「えっそんな、」
「いいから食べたいの頼め。カルビとかのほうが体にいい肉つくんじゃないか?」
「カルビっ…豚トロ…。」
「酒は?お前明日休みだろ、たまには飲めよ。」
「え、あ、じゃあ1杯だけ、あでも降谷さん飲めないですよね!?」
「俺はいいんだよ。辻川は何が飲めるんだ?」
「何でも飲めますっ前の部署では散々接待に連れまわされたので鍛えられました。」
「ほう。」
「降谷さんは凄く強そうですよね、お酒。」
「まあ人並みには。」

すごいなあと言えば降谷さんは笑ってそれのどこがすごいんだよって言った。やっぱり降谷さんはよく笑う人だよ。私はそんな降谷さんの笑顔にドキドキしながら、気持ちがばれないようにと頼んだお酒をぐいっと入れた。高いお店だからか、高いお酒はアルコール成分が高いのか低いのかも分からないけどとても美味しかった。