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「お、はようございます〜…。」

私はいつも通り出社すると先輩方がニヤニヤと私のことを見た。これ絶対、降谷さんは風見さんだけに言ったって言ってたけど全員知ってる…!

居心地悪いなあと思いながらデスクに座ると隣りに座っていた仁田さんが肩を組んでくる。

「辻川〜降谷さんと付き合い始めたんだって?」
「あ、えと、」
「やるじゃねえか、あの仕事一途だった降谷さんをどう落としたんだよ。」
「に、仁田さん近いです…。」

正直仁田さんの体重が少し掛かっている左肩が折れそうだ。私はわたわたとしていると後ろからガンッと何かが蹴られた音が響き、仁田さん含め一同音も消すように静まり返った。そしてゆっくり振りかえった先には降谷さんがいた。

「「「おはようございます!!」」」
「…仁田ぁ。」
「は、はいい!」
「お前のその態度を見る限り、どうしてもこの処理をやりたいようだな。」
「…い、いやそんな、まさかそれ1人でやれだなんて…。」
「余計な口を開かなければ3徹で終わる。やれ。」
「は、はい!」

仁田さんは私から大袈裟に距離を取り、泣きそうな顔で作業に取り掛かっていた。私も生半可な気持ちでいたら尻叩かれる…と思い目の前にある作業に取り掛かる。

降谷さんは特に私のことなど気にも留めず専用の個室にまた籠ってしまった。その瞬間私たち一同の肩の荷が下りる。

「仁田さん気の毒〜。」
「辻川にもう余計な手出しできねえなこれ。」

こそこそと聞こえる私の名前。確かに仁田さんがターゲットになってしまったのは私のせいだろう。ごめんなさい、仁田さん…。

「辻川。」
「はいっ。」
「例の事件の資料、できているか?」
「はい、こちらにあります。」

風見さんに呼ばれ私は資料を渡しに行く。風見さんはそれを受け取り、パラパラと資料を確認してくれた。

「こことここ、訂正しなければ恐らく降谷さんの承諾を得られない。」
「…あっ、なるほど。すみません、直ぐに確認します。」
「ああ、頼む。」
「風見さん、本日は、」
「14時に移動だ。」
「了承致しましたっよろしくお願い致します。」

今日は風見さんと初めての潜入捜査だ。とは言え私は遠くからビデオを回す記録係なんだけど、とにかく足をひっぱらないよう勉強させて頂きたい。

私の早く役に立てるようになりたいなあ。