「やつらの行動は頭に入れておけ。俺・山本・岸田・藤原は前方、風見・清水・辻川は後方へ回れ。くれぐれも単独行動は控えるように。いいな。」
「「ハッ。」」
緊迫とした現場。まだやつらは現れていない。今回のテロ組織は、人数としては多くなく少人数で結成されたものらしいが、どこから仕込んだものなのか爆弾の威力は計り知れないものだった。
「でも意外だな。」
「…はい?」
「降谷さん。辻川のこと傍に置いておくと思ったのに。」
「……。」
確かに私もその気でいたから待機班が違うことは少し驚いた。
「降谷さんは1番危険なところに位置する。…そういうところに置いておきたくなかったんだろう。」
「な、なるほど…。」
「とは言えやつらが必ず正面から入ってくるとは限らん。油断するなよ。」
「「ハッ!」」
私は刑事時代一度も実践で使わなかった拳銃をギュッと握った。怖くないと言ったら嘘になる。でも、私たちには降谷さんがいるんだ。きっと大丈夫、震える手を隠すように立ち位置に着いた。
やつらは降谷さんが言う通り、正面から入ってきた。全員で4人。情報通りだ。何やら大きめな箱を所持している。恐らくあれが爆弾であろう。まずは爆発物の回収だ。そしてそれに伴うスイッチ。それは恐らく彼らの誰かがもっているはず。それを押されたら私たちも木端微塵だ。
「降谷さんからの指示が出た。30秒後、降谷班が突入だ。その後俺たちがあいつらの所持品を全て回収、送検だ。何か不都合があったら直ぐに言え。」
「ハッ。」
「…辻川、やれるか?」
「…はい。やります。」
「よし。後10秒。」
指示されたことをする。分からないことがあればしない。私の全ては降谷さんに託す。意を決してGOの指示が出た瞬間私たちは突撃をした。
彼らは直ぐに取り押さえられ、爆弾のスイッチを押されることなく荷物の回収にも成功。そして彼らの身体チェックをし、その中から爆弾の数の分のリモコンを回収した。
凄くドキドキしたが、爆弾の回収、およびテロ組織の逮捕にも成功した。全て終わったと思った。
「爆弾は後で処理班が回収に来る。山本、岸田、藤原、清水は犯人の送検を頼む。そこに車が着いてるはずだ。」
「承知しました。」
「俺たちは処理班が来るまでここで待機だ。」
「ハッ。」
皆が降谷さんの指示通りに動いていた。犯人4人も車に入れられ、私たちは完全にことが終わったと安堵していたその時。横から走る一人の影は刃物を持ち、降谷さんに向かって走った。
「降谷さん!!!危ない!!」
「!?」
「な、!」
「お前のせいで、計画がめちゃくちゃだああ!」
咄嗟の判断だった。私はこの人を、死なせるわけにはいかない。そう思ったら体が自然と動いてしまった。
ああ、降谷さん。あなたの言うこと、破ってしまってごめんなさい。指示されていないのに、勝手な判断で庇うようなことをしてしまってごめんなさい。でも、誰だってわかってる。自分よりあなたが生きるべき存在、日本を背負う貢献者。
「辻川!!」
「畜生、もう一人いたなんて、」
「おい、おい辻川!」
「降谷さん、辻川の出血がひどい。直ぐに処置を!」
「分かってる!くそっ、おい、死ぬな。死ぬんじゃないぞ!!」
降谷さん、また泣きそうな顔をしてる。あの時みたいに泣いてしまうの?でもごめんなさい、あの時みたいに抱き締めてあげられないや。
「みのり、おいみのり!!」
「降谷さん、救急車を、」
「そんなもの待てるか!俺が連れて行く、お前はここにいろ!」
「しかし、」
「病院は確か飛ばせば15分のところにある。そこに、」
「連絡だけ入れておきます。早く辻川を、お願いします…、」
ふわふわと、宙に浮いた。その腕は温かくて、私の大好きな匂いがした。
私は降谷さんの腕の中で、力を振り絞り頬に手を添えた。
「ごめん、なさ、い」
「っもういい、喋るな。」
「ふる、や、さん、」
「喋ると傷口が開くだろう!!黙っていろ!!お前は生きるんだ、死んだりさせない!!」
「あ、りがと、ござ、います 」
「っ…後少しだ、我慢してくれ。」」
「、まも、れて、よか、た 」
そこで私の意識は遠のいた。