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テロ組織に5人目がいたのは完全に油断していた。あらなく調べたときは確かに4人で全ての行動をしていた。確保したもう1人は手紙だけでやり取りをしていた裏リーダーというものだった。

そんなものに気づけず、執行にあたりこんなミスを犯したのは元もなく俺だ。その上、みのりをあんな目に合わせてしまった。

俺は集中治療室の前で生きた心地がしなかった。透明なガラスに映った自分の姿はひどいものだった。みのりの血が全身につき情けないほどに生気を失っている。

部下1人、好きな女1人守れず何が公安だ。何が上司だ。俺は大切な人に守られてばかりで、1番身近にある守りたいものを何一つ守れていない。

「くそっ、お前が、お前がっ…、」

俺はガラスに拳を押し当て、項垂れるようにずるずると座り込んだ。

正直、俺が刺されるようならうまく防弾チョッキを利用して軽傷で済んだだろう。でもみのりの場合は防弾チョッキをギリギリ避け、直接腹部に刺さって出血が多く出てしまった。これはきっと現場に慣れているか、慣れていないかだ。

こんなことならもっと事前に現場で経験を積ませておけばよかったのか?それとも、…考え直したらきりがない。

いずれにせよ選択を間違えたのは俺だ。

「死なないでくれ…、」

俺はお前を失いたくない。帰る場所を、俺から奪わないでくれ。

トリプルフェイスと言われた自分の仮面が崩れていくのを感じた。




手術室の明りが消えたのは、この病院に来てから4時間後だった。

「先生、こいつは、」
「何とか一命は取り留めましたよ。…君、ひどい恰好している。今着替えを渡すから裏のシャワー室を使って着替えてください。」
「…無事、なんですか?」
「…無事とは言えません。危険な状態は続きます。やはり出血が多かったので、もし目を覚ましても後遺症が残る可能性もあります。」
「……。」
「彼女のことも心配でしょうが、この格好で病院内を歩かれたらこちらとしても困ります。今すぐシャワー室へ移動して頂けますか?」
「…はい。」

俺は先生に誘導され、血にまみれたスーツを脱ぎ捨た。