16

ここは、どこだろう。真っ白な世界。

仕事は?降谷さんは無事だろうか。風見さんは、清水さんは…みんな、無事だったかな。

今思えば何で防弾チョッキしてたのにあんなに刺されちゃったのかな。やっぱり私、ついてないのかも。そういえばあの防弾チョッキの拳銃取り出すところを、事前に銃を触ってたからひっくり返ってたのかな。自業自得じゃん。

あーあ。上司の言うこともまともに聞けないこんなダメ部下、処罰は何になるのかな。もうこの部署に入れないのかな。

そうだ、早く起きて私はどんな形であれあの人たちに会わないと。そしてちゃんと、謝らないと…降谷さんに。




重い瞼を開けると、辺りは朝日が昇ったばかりだったようで明るかった。そしてそこには私の手を握る降谷さんの姿があった。

「ふ、るやさん…?」
「…ん、」
「降谷、さん…。」
「 っ目が、覚めたのか。」
「…はい…。」
「今ナースコールを、」
「ふる、やさんっ、」

私はナースコールに手を伸ばした降谷さんの手を掴んだ。それはきっと情けない握力だったと思う。

「ご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした、」
「…お前が謝ることではない。やめてくれ。」
「でもきっと、あの時、私がでしゃばらなくても、降谷さんならうまくかわせましたよね。私、体が言うこときかなくて…気が付いたら降谷さんのこと、守らなきゃって思って…。」
「……。」
「降谷さんのためなら、死んでもいいって、あの時本当に思ったんです。」

私はそう言うと、最後に見たようなあの悲しい顔をして、掴んでいた腕を離し降谷さんは自分の顔を覆った。

「…なぜだ、」
「…え?」
「なぜみんな、俺のことをそんなに、」
「……。」
「俺はそれほどまでに負えるような人間じゃない。」

いつの間にか、重荷になっていたのかもしれない。降谷さんに対する信頼や、情熱、全てを乗せて降谷さんに頼りすぎていたのかもしれない。

目の前にいる男の人は、たった一人の人間で、その事実は私となんら変わらない。そう思うと少し小さく見えた。

私は降谷さんの頭を撫でると、降谷さんはゆっくりと顔を上げた。

「さっきの言葉、訂正します。」
「……、」
「私は、私のために決断し、行動しました。きっと、降谷さんじゃなくても、私はあのような行動をしたと、思います。降谷さんのためじゃない、自分のために、動いたんです。たった一人の人間を、守るために。」
「っ…、」
「…それが、今回たまたま降谷さんだっただけです。勘違い、しないでくださいっ、」
「…ああ、勘違いしないさ。」
「はいっ、」
「みのり、」
「はい?」



「生きててくれて、ありがとう。」


そう言った彼は、朝日が輪郭を象って余計に綺麗に映った。私は、もう一度はい、と返事をした。