コンコン。ノックをし、返事のない扉を開く。

すると降谷さんがこちらを見て、少しびっくりしたような表情を見せた。

「おはようございますっ、コーヒー、いかがですか?」
「…ああ、いただくよ。」

いつも通り、降谷さんのデスクには資料で溢れかえっている。私は邪魔にならないような場所にコーヒーを置き、彼の顔を見ると彼も私のことを見ていたようで目が合ってしまった。

私は照れ隠しのように目を反らすと、降谷さんに腕を掴まれる。

「あ、の…?」
「体は?」
「え?」
「平気なのか?」
「あ、はいっもう皆さんにも散々心配されましたが、平気です。」
「ならいい。」
「いろいろありがとうございました。」
「…別に感謝されるようなことは、」
「ここに、いさせてくれて。ありがとうございます。」

降谷さんはまた驚いたような表情をし、ハーっとため息をつかれた。え、私変なこと言ったのかな…。

「言い忘れていたな。」
「?」
「…あの時、俺のことを助けてくれてありがとう。」
「っ…は、はいっ!」
「俺が刺されていたら少なくとも1週間は事後報告が遅れていただろう。」
「1週間…(で直ってしまうとでもいうの…?)」
「それと、お前は俺のためにしたんじゃないと言ったな。」
「…はい。」
「悪いが、俺はお前が死にそうになればお前のために死ぬよ。」
「!?だ、ダメです!!」
「だからお前はお前のために生きてくれ。」
「……。」
「そして俺のために、生きてくれ。」
「っ…ふる、やさんっ、」
「俺と、一緒に 」

降谷さんはデスク越しに腕を軽く引き、右手を軽く私の頭を包み込みキスをした。プロポーズにも似た、私には勿体ない言葉だったけど、返事はもちろん決まっていた。



「わたしにも、あなたを守らせてくださいっ、」