「キャーイケメン!」
「え、え、田中グッジョブ!やばい!」
「おい安室〜お前超ダサい恰好で来いって言っただろ〜!ただでさえかっこいんだから!」
「あはは、ごめん。着替える時間なくて…。」
今の設定はこうだ。この田中という男とはフットサルで出会い繋がりをもった。そんな中、こいつと繋がっている佐々木という男にある容疑が掛けられているため今回の合コンに安室透として潜入することになっていた。
未だにあの時に使っていた偽名を潜入の時に使っているが、俺も大概安室透のことは嫌いじゃない。性格などもそのときのままを利用しているが、そのせいもあり女の寄付きが少々面倒なところもあった。
俺はまず佐々木を探すべく腕に絡み付いてきた既にほろ酔いの女性を苦笑いで対応し、辺りを見渡すと佐々木と話す一人の女性がいた。それこそが、みのりだった。
ずっと会いたかった女が、そこにいた。俺は周りに悟られないよう必死に冷静を装い、空いた席に座りながら口を開いた。
「遅れてしまって申し訳ございません。田中くんの友人の安室透と言います。よろしくお願いします。」
「安室さんはおいくつなんですか〜?」
「お前ら聞いてびっくりするぞ!」
「え?え?意外と年上とか?」
「25歳!」
「あはは。多分あなた方と比べると全然年上ですよ。」
「え〜!」
「年上最高なんだけどっ!」
「お前ら…。」
「まあそこは秘密でいきましょう。皆さんのお名前を伺っても?」
そう聞くタイミングでみのりをチラっと見ると、やはり俺の名前に違和感を覚えているのか少し考えている様子だった。何も変わっていない。いや、変わっていないと言えば嘘になるか。凄く、綺麗になった。
女はただ年を重ねるだけでは綺麗にならない。それまでの経験や過ごしてきた時間がいかに彼女を充実させてきたものなのか、顔を見ただけで分かった。適当に他の女性の紹介を聞き流し、順番はみのりに回った。
「辻川さんは私の会社の先輩なんですぅ。」
「へえ。辻川、何さんですか?」
「…辻川みのりと、言います。」
「みのりさん、」
「…すみません、私少しお手洗いに。」
「あ、辻川さん、俺着いていきますよ。」
好都合か、不都合というべきか。みのりにくっついて回っている男が佐々木だ。俺は部下に連絡を入れ、質問攻めに来る女性たちを上手い具合に切り抜けトイレ近辺に移動した。
近くのベンチで座るみのりの横には佐々木がいて、みのりも酔っているのか肩や腰に腕を回されているのに抵抗もしていないようだった。俺はその姿を見て下唇を噛んだ。