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結論から言うと、安室透とはあの日以降連絡を取り合う仲になった。

抱き締められたとき、確信した。この人は降谷零だと。私が大好きな匂い、温かさ…そう言うものは何一つ変わりなかった。私の記憶の中のまま。大好きな零だった。

何で彼が安室透として私に構ってくるのか理由は分からなかった。でも降谷零になりたくない理由があるなら、私は彼に騙されていようと思う。

それに、彼に会っても今は安室透なんだ。話をしたところで私がほしい答えじゃない。だからこの小さな未練は、安室透じゃ満たされない。

それでも彼に会うと、大好きだったあの頃を思い出して胸が疼いてしまうんだ。




「みのりさん、こちらです。」
「お疲れ様です。今日はスーツなんですね。」
「ええ、仕事後なので。」
「安室さんはお仕事何されてるんですか?」
「公務員ですよ。」
「へ〜。」
「聞いたわりに興味なさそうですね。」
「そんなことないですよ。」
「みのりさんは?」
「私は至って普通のオフィスレディですよ。」
「へえ。」
「…レディって、って思ってます?」
「何でわかったんですか?」


昔からこうだった。

私は意外と物を言うし、零はその何倍にもして返してきた。だからよく言い合いにもなったし、もちろん私が負けるんだけどこのプライドの高い男にいつも張り合っていた。

それこそ安室さんは敬語みたいなので迫力に欠けるが、零はいつだって容赦なかった。でもそれが私は好きで、大好きで。それに言い合った後に私が泣くことも知っていて、その涙を拭う指も、目も全部好きで。あ、やばい思い出したらまた泣きそうになってきた。零が居なくなってからあまり泣かなくなったのに、再会してからの私は本当にダメだ。

「安室さんと喋ってると疲れる。」
「そうですか?僕は楽しいですよ。」
「友達いますか?」
「そうですねえ、ここまで言い合える方は少ないですよ。」
「この顔ですもんね、女の子は騙されそう。」
「そっくりそのまま返しますね。」
「私は騙したことありません。」
「そうでしょうか?」
「そうですよ。」
「では彼氏の1人もいないのが可笑しいですね。」
「…そっくりそのままお返しします。」
「僕は作らないだけですよ。」
「どうして?」
「…たった一人の女性が、忘れられないんです。」

ずるい。

「今更何を言っているんだと、思われても仕方ない。」

ダメ。


「彼女を、今も…みのりさん?」
「…あ、」
「…どうして、怒ってもないのに涙を、」
「…聞きたく、ないです。」
「……。」
「聞きたくないです、安室さん。」


それ以上は、降谷零になってから聞きたいと思うのは私の我儘ですか?