「…オツカレサマデス。」
「心がこもってないですね、お疲れ様です。」
「だって安室さん、疲れてなさそうですし。体力ありますね、29歳なのに。」
「ありがとうございます。さて、じゃあ行きますか。」
「はーい。」
ああ言えばこう言う、じゃじゃ馬の様な子だ。性格は風見と正反対とも言える風見みのりは俺に対して最初の頃よりいい意味で自然となった気がする。そう、それこそ最初は俺と話すことも嫌そうで、なるべく口数少なくいたようだけど今じゃまるで正反対だ。
それでも俺はどこかこの状況を楽しんでいる自分がいた。今の自分は安室透だけど、彼女の前だとどうも安室透が崩れかかる。せめても敬語だけは崩さないようにしたいと思っているところだ。
彼女を車に乗せ、安室透の住むマンションへと向かう。
「安室さん、あの家って賃貸ですか?」
「…急にどうしたんですか?」
「すごおく立派なので、気になって。」
「さあ?」
「えー教えてくれないんですか?」
「はい、秘密です。」
「けち。じゃあこの車は?私前に乗った時ネットで調べちゃいました。とてもじゃないけどこんな車、買えないですよ。それにローンだったとしてマンションが賃貸で払い続けてたら月にいくら払ってるんですか?探偵の仕事がいくら稼げるからってこんな生活、普通に考えてできないですよね。安室さんって何者?」
「…君は本当によく喋る。」
観察し、想像をする。そして調査をし、相手を追及する。本当にこの子、公安にでもなれば結構いい線いくのに。その辺は兄に似たか。
「教えてよ、安室さん。」
ああ、この目。あの小さい探偵くんに似ている。純粋で、真っ直ぐな瞳。俺には少し、眩しいほどだ。
彼女がほっとけないのには、きっとこういうところに惹かれているんだろう。もちろん異性としてではなく、人間として、だ。
「教えられるのは1つだけです。」
「え?」
「僕の情報か、お兄さんの情報。どちらも、ということであれば…そうですね、体で、」
「じゃあ安室さんのことは知らなくていいです。」
「……。」
「お兄ちゃんのことだけ教えてください。」
本当にこの子は、風見の妹なのか疑うな。