うちの上司は世話好きです


1週間ぶりに降谷さんを見た。

「あ、お疲れ様です。」
「…辻川か、お疲れ。」
「本当にお疲れみたいですね。」
「そうでもないさ。お前こそ最近どうだ?」
「あ、昨日久しぶりに自炊しました。」
「お前料理作れたのか。」
「な、私のことなんだと思ってるんですか!」

同じタイミングで給湯室にいたため、会話が弾む。いつもみたいに私のことをいじってくる降谷さんを見て、少し安心する。それくらいの余力はあるようだ。しかし姿を見れば疲れが見えるのがわかる。もっと部下に頼ってくれてもいいのに、と思うけどきっとこの人にしかできない役目が沢山あるんだ。頼ってるところは頼ってくれてる上でのこの状況なんだと思うと、何もできないでいることに申し訳なくなる。

「何食べたんだ?」
「え?あーえっと、インスタントラーメンに卵を乗せてもやしをトッピングしました!」
「……ハ?」
「え?」
「お前…それが自炊とでも言うのか?」
「え、い、いやだってもやし乗せたんですよ!?すごい料理した!」
「ハッ、ふざけてるな君は。」
「本気ですわ。」
「普段は何を食べてるんだ全く…。」
「風見さんと同じですよ。」
「…チョコレート。」
「当たり。」
「ふ!ざ!け!る!な!」
「あいた!ちょっとお!女の子!殴らないでください!」
「何が当たり、だ!お前は馬鹿か!タコか!」
「人間!!もーなんですか全く…。別に人が何食べようが関係ないじゃないですかあ…。」
「公安は体が資本だぞ、そんなんでいざというときに体が動かなかったらどうするんだ。」

ごもっともな返答に思わず口が閉じる。…その理由として、昨日の現場で久しぶりの実戦というのもあり立ち眩みをしひやっとしたシーンもあったのは事実だ。

「す、すみません…。」
「…ハー…、お前、今夜うちへ来い。」
「…は?」
「飯作ってやるから。」
「…え、あ、いやご飯は嬉しいんですけど、さ、さすがに降谷さんのプライベート空間に私なんぞが踏み入れるのはおこがましいというかなんというか、」
「俺がいいって言ってるんだから問題ないだろう。」

いやいやいや、降谷さん。大問題です。私たち、上司と部下の皮を剥いだら、ただの男女なんです。男女、しかも20代のいい歳の2人が夜に同じ空間にいるってそれもうやばいでしょ。それともあれか、私なんて一緒にいてもそんな気に全くならないから安心しろというあれなのか。

「…いやダメだ。」
「あ?」
「お、お誘い嬉しいんですけど、やっぱり家は、」
「上司命令。」
「ハ?」
「今夜、うちに、来い。」


風見さん、どうにかしてください。