アピールが激しい上司です


翌日以降上司からの猛アピールに困っています。

「辻川〜、どこだ〜!」
「(やばい、やばい。)」
「隠れたってどうせ見つかるんだから早く出てこい!」
「…おい、辻川、」
「喋らないでっおねがい、風見さんっ…。」
「そんな目で見られても、後で怒られるのは俺「風見ィ。」
「ヒッ!」
「ああああ!」

風見さんのデスクの下に隠れていたのはまんまと見つかり、風見さんは泡吹く寸前で私はがくがくと首根っこを引っ張られ明るい地上へと連れ出された。

「お前何でそんな男が喜びそうなところに逃げ込んでるんだよ。」
「ハ?」
「なあ風見。」
「い、いえ私はそんなこと、」
「正直に言え。」
「…す、少し可愛いと思ってしまいました!」
「ほらみろ。」
「か、風見さん…。」
「すまない…。」
「いいからお前は今日から席替えだと言っているだろう。」
「だからそれは嫌だと何度も言ってますよね!?」
「上司命令。」
「パワハラ反対。」
「くっ…俺はここにいるときはいつだってお前を隣に置いておきたいんだよ!」
「んな、!な、なに言ってんすかぁ!」
「分からないのか?お前が好きだと言ってるんだよ。」

くっそ上司!こんな部下たちがいる中で!みんながガタガタっと椅子から転げ落ちる音が聞こえた。コントか。公安コント部か。私は恥ずかしくてもう逃げたい気持ちでいっぱいになった。というかもう逃げてやる。

「あ、おい待て!」
「辻川、お手洗いに出ます!」
「くそっ、」
「降谷さん…これに印を…。」
「あ?」
「ヒッおね、お願いします。」
「…こちらへ来い。」

よかった。山下、ありがとう。ナイスタイミング。私はトイレで大きく息を吐いた。

正直、そりゃ嬉しいですよ。だって私だって降谷さんのこと、…すきだし?認めたくないけど好きですし?嬉しいけど、なんかもうこれまでツンツンしてきたのが今となってはどうすればいいのか分からなくなっていた。だって急に「降谷さん…しゅき…。」とか言ったらきもいし、ましてや公安は現場に出ればいつ死ぬか分からないような危険な仕事も多い。

だから余計に、負担になりたくないと言うか…うん。公安部の独身率の理由がわかる気がした。

「ハー…。」
「随分長いトイレだな。」
「っ降谷さん!?」
「俺の告白から逃げるとはいい度胸じゃないか。」
「だ、てか、あんな人の多いところで言う必要ないじゃないですか!」
「いいだろう。どうせ俺の気持ちはあいつらにばれてるんだし。」
「ええ…。」
「座席、隣に来い。」
「…嫌です。」
「何故だ。」
「今の席は仕事がしやすいからです。」
「俺が隣りならもっと効率が上がるだろう。」
「絶対厳かになる。だって降谷さんちょっかい出してくるもん。」
「……。」
「ほら。ダメです。」
「じゃあ賭けをしないか?」
「は?」
「俺は今週、残り全て本庁戻りだ。今週お前に業務以外で話しかけない。それができたらお前は来週から俺の隣の席。どうだ?」

どうだって…なんだその条件。ほんっとこの人…バカなんだか、余程私のこと…いやいや、考えるのはやめよう。でもここまで毎日しつこいとさすがにこちらも降谷さんも業務に支障がでるだろう。この賭けに乗るしかない。

「いいですよ。」
「よし。じゃあ明日、」
「今日からですね。」
「…わかった。」
「では、業務に戻ります。」
「ああ。」

ここから降谷さんとの奇妙な掛けが始まった。