可愛くても男の子
「うわ………」
「……露骨、だな。」
「だねえ。」
慣れない2人でいざラブホテルに入ったはいいものの、部屋の明りはよくドラマとかでありそうなピンクな照明になっていて、ベッドのサイドテーブルには既にそれっぽい道具とかおもちゃとか……露骨に並ばれていた。まあ、そういうところをする場所だしなあ、と思いつつも行為自体経験も少ない上にご無沙汰だから思わず体が強張った。
「あ、なんか飲む?お水と緑茶と、ほうじ茶とかあるよ。」
「……やめよう。」
「へ?」
「こんなとこでお前との初めてにしたくない。」
そう言いながら影山さんはぼふんとベッドに倒れ込んだ。ここまできてしないとか、影山さんって仏か何かなのか?とか思いつつ私も正直のところ心の準備が出来ていなかったから少し肩の力が抜けてしまった。
「いつまでそこ突っ立ってんの。」
「あ、ああ……えと、」
「こっち来い。」
「え、うわ!」
腕を引っ張られ顔面からベッドにダイブすると影山さんがどんくせ、と言って笑っていた。2人して靴も履いたままベッドに倒れ込んで本当にバカみたい、と私もつられたように笑ってしまうと横から影山さんが手を伸ばし私の頬に触れる。
「俺、好きな人と付き合うの多分初めて。」
「……そ、それは嘘だ……。」
「これまでバレーしかやってこなかったから。」
「……バレー馬鹿、ですよね。」
「よく言われる。でも別にそれでいい。」
ふと笑った影山さんの破壊力はすごくて、馬鹿みたいに顔が赤くなっていくのを感じ思わず顔を反らす。すると後ろからギュッと影山さんが私を包み込むように抱きしめてくる。後ろから感じる影山さんの温もりと匂いが好きだなあって感じた。
「ワールドカップ、終わったらオフシーズンだ。」
「そうですね。」
「そしたら…今日のリベンジ、させてくれ。」
「……………」
「……だめ、か?」
「…綺麗な、旅館とか、お泊りで行きたい、です。」
「!おう!」
「遅刻はダメですよ。」
「もうしねえ、てか敬語。」
「あはは、つい癖で……。影山さん、」
くるりと姿勢を向き合うように移動させると案外近い距離に影山さんの顔があったから、そのまま唇を奪いギュッと抱きしめて好きだよ、と言ってしまえば年下の可愛い彼はんぐう、と変な声を出しながら力いっぱい抱きしめ返してきた。少し苦しい抱擁は何だかとっても恥ずかしくて幸せだ。
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