お節介でめんどくさい人


あの日から3週間後、国際親善試合で中国との闘いは連日死闘で選手やサポートメンバーも皆全力を尽くしていた。内容的には勝ったり負けたりとあったけど監督らによると良い収穫をした、と声を揃えて言っていたため良い試合内容だったよう。それから数週間後には直ぐにアジア選手権が待ち構えている。シーズンに入ると本当にあっという間に1年を駆け足で過ぎてしまうなあ、と思いつつ今日はある人の付き添いで病院へと来ていた。

「問題なさそうでよかったです。」
「だから言ったでしょ〜?まあいつもと同じやつだからね。」
「ちゃんと報告しておきますね。」
「俺だって毎回してるし、もっと信じてほしいものだよね。」
「あはは、みんな及川さんには期待してるからこそですよ。」

及川さんはこうやって定期的に足の様子を主治医に確認してもらうために病院へと来ていたが、今回初めて同行をして来てほしいと志村さんから言われていた。私は先生から聞いたお話を簡単に志村さんにメールで報告をしマッサージに呼ばれるまで待合室で2人で待機をしていた。

「みのりちゃんさ、飛雄とはどうなったのさ。」
「え?あ、ああ影山さんも頑張ってますよね。昨日もいい活躍でした。」
「そういうんじゃなくて。付き合ってるんでしょ?」
「へあ!?そ、そんなんじゃないです!!」

嘘つくの下手すぎ、と大笑いをされ思わず目を反らす。まずい…私から絶対秘密と称していたのにバレたりしたらまずい。何とか言い訳考えないと、と思っていたら一通り笑い終えた及川さんがまあまあ、と声を出す。

「いいじゃん、俺言わないよ?」
「……付き合ってないです。」
「嘘言わないでいいって。こう見えて口堅いから!」
「そう見えないですよ!」
「それはみのりちゃん次第かな〜、ほら今素直に言っちゃえばみのりちゃんと飛雄付き合ってるっぽいよ〜って噂も流さないよ?」
「…………」
「噂ってあっという間に広がるよね〜特に俺ネットワーク広いから、」
「ああもう!分かりました!いうので、絶対他言しないでください!もちろん影山さんに色々言うのも禁止です!」
「りょーかい。で?どっちから?」

ああ、これはめんどくさいと思ったら先生から及川さんの名前が呼ばれほっとする。あとで絶対聞くからな!と宣言され、私は一度病院を出て連絡先から影山さんをタップする。今なら多分移動時間で出れるはずだ、と着信を掛けると思った通りもしもし?と直ぐに電話に出てくれた。

「あ、すみません。ちょっと話したいことがあって、」
『マネージャーの話?』
「あー……えっと、オフの方で…」
『おお、何だ?』
「実は…今及川さんと病院に来ているんですけど、私たちの関係に感ずいていて…」
『ああ……』
「噂流されたくなかったら本当のこと言いなって言われて……」
『恐喝じゃん』
「い、っちゃいました。すみません、本当。」
『別にいいよ、俺は及川さんには言いたかったし。あの人直ぐ辻川にちょっかい出すから。』

バレてしまったことにもっと責められるかと思ったけど案外あっけからんとしていて私はほっとした。まあ確かに及川さんに言いたい、と前からも何度か聞いたことがあったからいい機会だったのかもしれない。

「一応絶対他言しないでとは伝えたんだけど…大丈夫、かな。」
『多分そういうところはちゃんとしてるから大丈夫だと思う』
「そっか…よかった。ごめんね、こんなことで電話しちゃって。」
『気にするな。俺はもっとお前と色々話したいから』
「うん。じゃあ、そっちも怪我せず頑張ってね。」
『おう。じゃあ』

電話を切ると余計に名残惜しくなってしまう。でもやっぱりこうやって影山さんの声を聴けてよかった、と少しスキップをして病院に戻るとその姿をリハビリセンターから及川さんに見られていたらしく本当に穴があったら入りたかった。そしてその後めちゃくちゃ馴れ初めやら付き合いについて聞かれたけど質問の半分以上を誤魔化しながら寮へと戻っていった。


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