幕締め、そしてこれから。


うおおおお、そんな声が響き渡る。祝福、興奮、歓喜……全ての感情が爆発したフルセット、28:30の激戦の末私たち日本代表はあのブラジルに勝利を収めた。これは紛れもなく日本バレーの歴史が変わる瞬間だった。

「阿部さん!阿部さん!!」
「っし!ほら選手来るぞ!」
「どうしよう、泣いちゃうかもっ、」
「もう泣いてる、はは、まだ試合あるっつーのに全く……、」

まるで決勝、最後の試合と言わんばかりの雰囲気でスタッフにも涙を止めることが出来ない人がいる中、もちろん私のもその中の一人だった。選手一人一人がスタッフの方へとハイタッチをしにくる中で未だに泣いている私を見てベテラン勢には大いに笑われてしまった。

「では今日は皆様お待ちかね、この方にインタビューです!影山選手です!」
「あざっす、応援ありがとうございました。」
「いや〜本当に念願のスタメン、そしてファイナルセットのまさかのラスト、ツーアタック!!もう対戦チームだけでなく会場の我々すべてを驚愕するような快進撃でした!」
「……きょうがく?」

ドッと笑いに包まれる会場。お客様だけじゃなく、私たちまで肩の荷が下りたような、雰囲気に包まれる。これを計算でやっていないんだからほんっとずるいよなあ。私は裏へと戻る準備をしながらインタビューに耳を傾けた。

「影山選手にとってこの試合、どういう試合になりましたか?」
「…17試合中の1試合には変わりありません。」
「なるほど、スタメンに初めての起用だったと思うんですがその点はいかがでしょうか?」
「自分が選ばれたからには役目を果たすつもりでやったつもりです。」
「素晴らしいご活躍だったと思います!」
「あざっす。」
「では最後に、残りの試合も期待してよろしいでしょうか?」
「はい、またスタメンに選んでもらえるように頑張ります。」
「影山選手でした!ありがとうございました!」

大きな拍手に包まれた。17試合中の1試合、そう。彼がそういった言葉の重みが伝わる人はこの会場に何人といただろう。”絶対に勝たないといけない””勝てる相手じゃない””この大会で1番の山場”そう言われてきたこの試合を17試合中の1試合、あたかも普通に試合に望む志で彼は試合に挑んでいた。これがきっと彼の強みでもあるんだろう。

「辻川、」
「……勝ちましたね。」
「おう。」

そう言って両手をこちらに向けた影山さんに、私も笑みを浮かべてハイタッチをした。繋がれていく、次に。


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