AS2

最近辻川がやけに余所余所しい。

シーズンが終わって俺は辻川の家に行くことが多くなったんだけど、目も合わないし話せば俺に掛ける言葉を多分慎重に選んでいるのかすごく気を使ってる感じがする。するときも俺のされるがままだし、そりゃ俺は嬉しいけど何か違う気がする。

あの頃笑ってくれた顔を見ていない。

「どうすればいいんだ…。」
「おおお、影山くんが頭を抱えてる姿久しぶりに見た…。」
「…休日にごめん。谷地さんなら何かわかるかなって思って。」
「んんん…でもわたし、少しわかるかな。辻川さんの気持ち。」
「え、」
「だって影山くんだよ?世界で活躍するような人だもん、そりゃ普通の人なら畏縮しちゃうよ。」
「いしゅく?」
「…謙遜?」
「けんそん?」

むむむと谷地さんが頭を抱える。谷地さんは頭が良いから、きっと辻川のことも分かるし俺には伝わらないんだ。

とりあえずちゃんと話してみれば解決するんじゃないかなと言われ、俺たちはカフェを出た。そのまま谷地さんとは別れ、俺は自宅に帰ると余計なことを考えないように筋トレを始めた。体を動かしているときはあまり細かいことを考えないで済むからよかった。

それから1週間。俺はびっくりする連絡をもらった。

【お前いつから谷地さんとそういう関係になったんだよ!!辻川さんという女がいながら!!このやろう!!】

【影山あの記事まじ?先輩にはちゃんと報告するように!】

【影山谷地さんと付き合ってたの!?教えてくれないの寂しいじゃん!!】

【うおおおおおおおい影山!】
【お前!やっちゃんと付き合ってるなんて!】
【この田中先輩が許さんぞ!!!!】

【うおおおおおおおい影山!】
【聞いてねえぞ俺は!!!お前今度リーグで会ったとき問いただすからな!!!】

「…なんだ?」

意味も分からずとりあえず菅原さんに【なんのことっすか】と連絡をいれるととりあえずテレビ見ろと指示があったので普段はあまり使わないテレビを付ける。

「…なんだこれ。」

『現在女子に大人気のバレー選手である影山選手に熱愛とは、皆さんにとってはショックな報道だったかもしれないですね〜。』
『相手は一般女性で、仲睦まじい感じだったと。あと写真を見てもやはり身長差がすごいですね〜さすが大型セッター!』
『まだ所属チームからのコメントもないとのことですが、今後注目のニュースになりそうですね!』

テレビに写された写真は谷地さんとご飯に行った時の写真に間違いなかった。それをこんな報道されてしまうなんて、でっち上げにもほどがある。

というかもしこんなニュース辻川が見たら勘違いしてしまう、俺は焦って辻川に電話をしたけど応答はなかった。そもそも平日の昼間だし仕事でこんなニュース見ないだろ、と思い込むことととして俺は所属チームに連絡をした。

辻川には、後で謝ろう。そう呑気に考えていた。