朝からニュースは影山くんの記事でいっぱいだった。多分写っていた女の子は同じ高校の、バレー部マネージャーの谷地さんだ。一度も同じクラスにはなったことはないけど、可愛くていい子だと聞いている。
本命はそっちだったっていうことかな。わたしは呆れや悲しみということはなく、やっぱり遊びだったんだろうなという解釈が1番しっくりときた。
でもやっぱり少し悲しい。けどまだ今なら引き返せる。ただの同級生に戻れる。夢みたいな時間を見さえてもらったんだ、寧ろ感謝しないとだよね。
「みのり〜!もうわたしショック〜影山選手、彼女いたっぽい〜!」
「…ね。見つかっちゃったんだね。」
「あの写真の子高校の同級生とかにいた?それなら太刀打ちできないわ〜。」
「…どうだったかな。わからないや。」
「そっか〜…残念!」
その後普通に仕事をこなし、ランチも平然とできた。15時の小休憩で携帯を見ると影山くんから着信が1件とラインが数件入っていたけど電話を掛け直すことも、ラインを見ることもせず仕事に戻った。もしかしたら今日このまま家に帰ったら彼が来てしまうかもしれない。今日は運よく金曜日だったので、私はそのまま実家に帰るための仙台行きの新幹線のチケットを買った。
影山くんとは、会いたくなかった。
「ただいま〜。」
「おかえり〜どうしたの急に。」
「ん〜何となく帰りたくなって。」
「お父さんちょうど花巻の方に出ちゃったから今日帰らないんだって。悲しんでたわよ。」
「残念。柚耶は?」
「今ね〜彼氏と同棲してるんだって。」
「じゃあお母さんと2人っきりだ。あ、ご飯!嬉しいな〜。」
「手洗ってきなさい?みのり帰ってくるって言ったから好きなものたんと作っちゃった。」
「ありがとう。」
わたしはその後お母さんの手料理を平らげ、最近の話をいっぱいした。もちろん影山くんのことは言っていない。宮城から帰ったら、もうなかったことにするんだ。
「あんたさっきからずっと携帯鳴ってるけどいいの?」
「あーうん。ごめんね、通知だけ切っちゃう。」
「みのり、連絡来てるのには返した方がいいんじゃない?」
「……ちょっと、見てくるね。」
リビングから元の自分の部屋に移動して、携帯を開くと20件以上の着信と、50件以上のラインが来ていた。それも全て影山くんからのものだった。
ラインは既読にせずトークルームごと消した。もう会いたくもなかったからブロックしようと思った時、また影山くんから着信があった。これに出て最後にしよう、そう思ってわたしは電話を取った。
「もしもし。」
『辻川!?やっと繋がった…あ、あの今どこに、』
「…東京にはいません。」
『は?』
「影山くんに会いたくないので、家には帰りません。」
『…ちょっと待て。もしかしてあのニュース見て、』
「ごめんなさい。短い間だったけどありがとうございました。」
『ま、まて辻川!』
「さようなら。」
さようなら、影山くん。