コヅケンがそこにいる
どうしよう。つい行く、なんてこと言ったけど私大丈夫かな。
相手はもう3年はずっと好きだったコヅケン。会って幻滅…なんてことがあったら今後の人生どう生きればいいのやら、というかこのまま会わないで夢見てた方が幸せなのでは…と思う気持ちを上回るコヅケンへの「期待」「興味」
あー……わたし、もう少し地味な格好してくればよかった。なんとなく、コヅケンって派手な女の子嫌いそうだし…と思って私の今の格好を見るとこの冬沢山着てやると意気込んで買ったボルドー色の膝丈ワンピースなんて着てきてしまった。絶対黒のトレーナーにスキニーとかでよかった。いや、イメージだけど。
メイクを直し、髪の毛も軽く毛先だけ巻いてストールを肩に羽織る形で小さなバッグを持ち部屋を出る。交換したばかりの灰羽さんの連絡先から【お店入ってます!コヅケン先輩も一緒にいます!】という言葉に胸のドキドキが止まらない。
「はー……どうしよ、」
人生でこんなに緊張することが果たしてあるのだろうか。いや、実際に初めての撮影現場よりも緊張してる。絶対。
マスクをして指定されたお店へと向かい、灰羽と待ち合わせですと受付をして案内をされる。完全個室、コンコンと扉を叩き失礼します、という店員さんの声がやたらと響いて聞こえた。
中にいたのは灰羽さんと、その横にいる猫背・猫目・金髪の中性的なお顔の顔立ちの男の子。え、これが…世界のコヅケン……?
「うっわ、私服もめっちゃ可愛いですね!お疲れ様です!」
「………………」
「あっれ…辻川さん……?」
「………………」
「……リエーフ、この人大丈夫?」
あっ、って思った。
この声、トーンも喋り方も、全部聞き馴染みのある。本当にこの人、コヅケンなんだ…そう思ったら顔が赤くなるのを感じた。どうしよう…コヅケン、……コヅケンだ。
「あちゃー…辻川さん本当に研磨さんのこと好きなんすね!いやぁ、これは俺無理だわ!」
「………………」
「とにかく席!座りましょ!ほらほら!」
灰羽さんに肩を掴まれ固まった足を無理やり動かしながらコヅケンの向かいに座らされる。こんなの、ご飯が食べられる訳がない。ちらりとコヅケンを見ると少し面倒くさそうな、怠そうな顔をして灰羽さんを見ていた。どうしよ、私を見ないところとか、そういうのもすごい好き。
「辻川さん、何食べます〜?俺はレタスとアンチョビのパスタと〜……あ!研磨さん!アップルパイありますよ!たぶん美味しい!」
「……たぶんって…、まあ食べるけど」
「…………アップルパイ、」
「え!?辻川さんもアップルパイ好き!?」
「……コヅケン、が好きなの…ちょっと意外というか…イメージ通りのような……」
「……おれアップルパイのイメージあった?」
「っ……、なんか、甘いの好きって…昨日も言ってた、から……」
「あー…まあ、うん。好き。」
やばい。目が合わない、けど会話してる。嘘みたい、好き。
コヅケン、好き。