そのグラドル魔性の女
世間的に整った顔というのは分かる。おれの通ってた学校にこのレベルの女子はいなかった気がする。自分の顔とそれに合う服選びも上手い、んだと思う。まあさすがそういう活動してるだけある。
リエーフからは「おっぱいの大きい天使!」としか聞いてなかったから実際会うと思ってたよりはフツー、って感じ。てかリエーフは女性の身体のことばっかそういう目で見過ぎなんだよ。モテるくせに元気か。
でも恥ずかしいくらい、目の前のこの女子はおれの事を見ては顔を赤くする。いや、何これ。そういうのはクロの役目だし、慣れてないからやめてほしい。
「あ、やべ電話だ。俺ちょっと席外しますね!」
「えっ」
「………………」
リエーフが席を立つとさっきまでの騒がしい空気がすっと無くなり静かになる。何喋れば良いか分かんないし、まあ気を使うのも面倒くさいし携帯弄って黙ってよ。
「……あの……、」
「……なに?」
「あ……の、わたしっコヅケン…さんのこと、本当に生きがいにしてて………あーもう、何ていえばいいのか分からないけどすっごい…、すっごい好きなの。」
生きててこんなにストレートに好きだと言われたことは間違いなく初めてのことだった。一瞬フリーズしたけど自身の恥じらいを感じる前にこの人凄いなと感心する。まあ、顔を真っ赤にしてる時点でそっちはそれなりに羞恥はあるみたいだけど。
「……ゲーム、するの?」
「えっ!?あ、うんっ…全然コヅケンからしたらへっぽこだけど、やってる。」
「へー、何やるの?」
「……今はA●EXとか、ffとかかな…」
「へぇ、エペはシーズンどこ?」
「今6やり込んでる」
「同じじゃん」
「……だってわたし、コヅケンといつかプレイ出来ないかなと思ってやってるんだもん。同じことばっかりやっちゃうよ…」
あ、なんだこれ。胸がキュン…?って感じ……?いやまあ、普通に、…普通に。顔を背けると見てはないけどふふ、とにやける声が聞こえる。そりゃ相手はグラドルで男扱い慣れてるし、おれなんか面白がられてんだろうな。あーあ、もうほんと情けな。
「!?は!?顔近!」
「コヅケン、顔綺麗。顔出しする時もマスクしてるし、もっと出せばいいのに」
「いいんだよ。てかまじで近いから、ちょっとあっち行って」
「ふふ、私がこうやって近づくのなんてコヅケン以外ないんだよ。」
何、この女。魔性の女と書いてこいつの本名だろ。真っ白で透明な肌とくりくりの目がおれを捉える。最近の女子はみんなカラコン入れてると思ったけどこの人は入れてないみたいで、瞳には戸惑ってる自分が映っていた。
てか最初の恥じらいどこ行った。本当女こわ。
「お願い、……また、会ってほしい。友達からで、いいから」
とんでもないやつに捕まったかもしれない。