コヅケンまであと一歩
「じゃ、送ってきますよ」
「え!?いいですよ、黒尾さんにこれ以上迷惑かけられません…」
「いやいやぜーんぜん大丈夫。寧ろみのりちゃんを1人で帰して何かあったら黒尾さん立ち直れないから」
「……ありがとうございます。じゃあ、お願いします」
2人で病院を出ていく。改めて横に並ぶと職業モデルですか?と疑いたくなるほどスタイルがいい。
「よくあるの?こういうの」
「…ん〜、よくはないですよ。特にスタッフの方でこういう形になったのは初めてです。」
「今頃事務所とか大騒ぎだろうな〜マネージャーさんもさっき大慌てだったもんな」
「そうですよね、普通私を1人で帰すの躊躇うのはマネージャーの仕事なのに、焦りすぎてその人員確保してないし本当バタバタで…すみません」
「いいえ〜、本当グラドルの何がいいって手に入らないからいいんじゃんね。ああいう猿男は捕まった方が社会の為なんだよなぁ」
黒尾さんみたいな考えの人もめずらしいなと思った。こんな人が自分のファンでいてくれたことも何だかむず痒くなる気持ちでいっぱいだ。
「みのりちゃん、聞いてもいいですか?」
「な、なんでしょう?」
「あの…何したらそんなおっぱいおっきくなったの?」
「……ぶ、あはは!えーわかんないよ、だって気が付いたらドーンって感じだったんだもん。特別なことしてないですよ」
「まじ?なんか専門の胸を揉むマッサージ師とかいるのかなとかいろいろ考えてたわ…」
「あはは、AVの見過ぎ。ん〜強いていうなら…コヅケンの動画見てたかな?」
「……は?コヅケン、って…あのゲームの?」
「はい。知ってます?」
「いや〜…知ってるも何も、」
俺、そいつの幼馴染みなんだよね。
その言葉はあまりにも衝撃で思わず足が止まってしまった。えっコヅケンの幼馴染みってことは研磨の幼馴染み…ってことだよね……?えっ……!?
「け、研磨!?」
「え?あ、あー……あいつコヅケンが研磨って公表してたっけ……え?てかなんでみのりちゃんが研磨のこと知ってんの?え、……あーーー!!!俺察した!ま、まじか研磨!!」
「わ、わたし最近研磨と知り合って…!あの、黒尾さんに教えてもらいたいんですけど…研磨の好みの女性ってどういう女性!?」
「……はーん……ちょっとまって、黒尾さんショックを受ける時間が必要だから」
「?」
先ほどから黒尾さんが頭を抱えたり変な奇行を見せてたけどふぅ、と息を吐くと何やら携帯を取り出しながら研磨の好きなタイプねぇ、と呟き始めた。
「まあ、あいつ案外世話好きだから甘えてくるタイプには弱いと思うよ、あとは〜基本的に自由でいたいやつだから縛る人は苦手かな」
「さ、さすが幼馴染み……!見た目は……?」
「見た目な〜ほら、あいつほんっと恋愛とか興味ないからさ〜俺でもそーんな聞いてないんだよねえ。」
「うー……綺麗系より可愛い系の方がいいのかなぁ…」
「あーそうかもなぁ。ところでここでちょっと待てる?」
「え?なん…」
「辻川さん!」
嘘…幻覚でも見ているの……?
研磨に見える人がこちらに向かって走ってきている。というけ研磨って走れたんだ…やっぱり夢……?
「まだ遠いのに柄にもなく名前呼んだりあーんな必死になって走ってんの、俺は少なくても見たことねえなぁ」
「っ……脈、ある……?」
「じゃないんすかねえ?まあ俺は研磨からみのりちゃんのこと聞いてないから分かんないけどね〜もっと押して部屋連れ込むくらいしちゃいなよ。弱ってる女の子の頼みは何でも聞くのが男ってやつですよ」
私は研磨の元へと走り出した。