コヅケンのものになりたい
「……うま」
「本当!?よかった〜!」
即興で作ったしば漬けチャーハンとオクラのお味噌汁は研磨の口にもあったようでほくほくといつもみたいに美味しそうな顔をして食べてくれてすごく嬉しかった。
食べ終わると色々あったし疲れたでしょ、と洗い物は研磨がやってくれ私は座って麦茶を飲む。あーどうしよう、すごいいいな、こういうの。
自分でも無理なお願いをたくさんしてしまった自覚はあった。それでも研磨はパンツ買ってきて以外のお願いは全部してくれたし、それも後で一緒に買いに行こうって言ってくれて…思い出すとにやけが止まらない。
「……何笑ってんの」
「え!?えー……えへへ。なんでもない」
「……コンビニ行く?」
「うん!行く!」
わたしは研磨の後ろをくっついて家を出た。
時刻は23時手前、12月初旬の寒さが身に染みる。
「さむ〜……」
「……しぬ」
「研磨寒がりっぽいよね〜、なんかいつもコタツでぬくぬくしてそう。」
「今週末出す予定だった」
「あはは、寒いね〜」
こういう時、大学生の頃付き合ってた彼氏は手を握ってポッケに入れてくれたっけ。何も言わず、スマートに。チラッと研磨を見ると身を震わせて自分の手をポケットに入れていた。
まるで猫みたいに見えるその姿が愛おしくて、わたしはえいって言いながら研磨のポケットに手を突っ込んだ。
「な、に!てか手冷た!」
「冷え性なんだもん〜わたしの手も一緒にあっためて〜」
「……歩きづらい」
「でもいいの、コンビニまでだから」
「……ん」
研磨は文句を言わずされるがまま歩いてくれた。コンビニに着いたらきっと暖かい飲み物とか買っちゃうだろうし、こうやって手を握って歩けるのは今だけだ。わたしより少しだけ体温の高い研磨の手をぎゅっと握った。
「あった!明日のパンツ!」
「声でかいし見せつけないで。」
「えへへ、あ、化粧落としと化粧水も買わないと…あと明日の朝ご飯も買お?ランチはお店行くよね?」
「行く。……全部カゴ入れていいから」
「えっいいよ!私の使う分だし」
「いいって。……ご飯作ってくれたお礼」
小さい声でもその優しさは伝わってくる。これまで男の人から貢がれたことはたくさんあったのに、コンビニで買ってもらうパンツが GUCCIのバックよりもCHANELの財布よりも嬉しいなんて。
「……ありがとう」
「ん。おれホットコーヒー飲むけど買う?」
「買う!」
「コンビニのコーヒーって結構美味しいよね…」
「わかる。おれの家セブンのマシンあるよ」
「え!本当!?朝はそれ飲みたいなぁ」
「……じゃあ朝ね」
「やった!えへへ」
本当に朝も一緒にいれるんだなぁ。改めてそれを感じてわたしの気持ちは浮き立つ。そういえば研磨、ゴムとか買ってなかったな〜普通彼女とだったらこんな夜にコンビニ行くってなったら買うものの鉄板だろうに、コンビニ店員に可哀想って思われてたかも。
まあわたしは彼女でもないし、研磨は性欲はあるとは言ってたけどその対象がわたしになるとは言ってない。男女が一晩同じ屋根の下にいるのに何も起きないって…わたしグラドルとしてどうなんだろう。
「(ま、あんなことがあったし研磨は絶対に手出して来ないよなぁ)」
「辻川さん」
「え!?」
「だから手、ポケット、いいの?」
「……!!入れる!!」
研磨の手は先ほどよりも少しだけ暖かかった。
「研磨〜、お風呂ありがとう。お水貰ってもいい?」
「……好きに使っていいよ」
「うん、ありがとう!」
家に着くなりお風呂に入らせてもらい借りた寝巻きは胸元に「孤爪」とかかれたジャージだった。なにこれかわいい、学生時代のジャージとかとっとくタイプの人なんだ。腕を通すとよく見る彼シャツみたいな、そこまでだぼっとした感じにはなっていない。多分今も身長差は5〜6cmくらいだし体重はもしかしたら研磨の方が細いかもしれない…。
思えばあまり体格差はないんだよなぁ…とニヤニヤしてしまう。
程なくして研磨もお風呂に行ってしまったのでわたしは先ほど買ってもらったスキンケアを丁寧に行っていく。
今日、どこで寝るのかな。研磨のことだから絶対別々なんだろうなぁ。
でも正直今後こんなチャンスもうない気がするから、出来れば一緒のお布団で寝たい。少しでも研磨の性の対象に入りたい。
「……がっつきすぎ、」
ほんっと…こんな必死になる自分、自分でも知らない。