久しぶりの来客


夜久さんのサポートについて1週間。サポート業務は3ヶ月の約束なのでその間ほぼ毎日のように連絡をしていた。それは「コンビニってどこにありますか」「郵便局ってどこですか」「これ作るのは何を代用すればいいですか」なんて些細なこと。
特に料理面ではかなり手こずっているようで日本のあれが食べたかったけど分からない、みたいなことが多くて頑張ってるなぁと、大丈夫かなぁと少し心配になる。

「お疲れ様です」
『お疲れ様です、すみません夜分に』
「いえ、どうされました?」
『あー…っと、前回肉じゃがの作り方聞いたじゃないですか、……なんかみりんの代わりのやつ入れたんですけど全然味が気持ち悪いというか、美味しくなくて……具体的に少々ってどのくらい入れればいいんですかね』
「すみません、私の説明が悪かったですね」
『いや!辻川さんの説明はめちゃくちゃ良かったです!ただ俺の対応力が乏しくて…すみません』
「いえいえ、……あの、よかったら私の家今日の夜ご飯肉じゃがだったので食べられますか?」
『……え!?い、いいんですか!?』
「はい、……とはいえ庶民的な味なのでお口に合うかわかりませんが」
『俺庶民中の庶民なのでめちゃくちゃ口に合うと思います、すごい嬉しいです』
「では今からお家の方伺いますね」
『え!いや俺が行きますよ!』
「大切な選手をこんな時間に出歩かせるわけにはいきませんので」
『それを言うならこんな時間に女性を出歩かせるわけにはいかないです、俺に行かせてください』
「………でも、」
『お願いします、ここ1週間でだいぶ地図も読み取れるようになったので任せてください』
「……分かりました、ではお待ちしてますね。後ほど住所をお送りします」
『はい!ありがとうございます!』

時刻は21時。こんな時間に来客が来るなんて初めてのことだ。私は慌てて部屋に散らばっているおもちゃや洗濯物をバタバタと片付けていると部屋にいた美真がリビングに戻ってきた。

「ままぁ?どうしたの?」
「美真、これからね仕事の大切な人が来るからいい子にしてるんだよ?」
「うん!みまもあっていい?」
「うーん……静かにできる?」
「できる!」
「じゃあ一緒にお出迎えしよっか」
「うん!」

久しぶりの来客に美真は凄く嬉しそうだった。私は作っていた肉じゃがとお味噌汁、お新香と白米というザ日本食を準備し夜久さんが来るのを待った。