アピールと不器用
「侑さぁん」
「なんや翔陽くん情けない声出して」
「侑さんだったらむちゃくちゃ好きな女の子にどうやってアプローチします?」
「!!翔陽くん春なん!?ついに!?」
「俺やっぱ恋愛とかどうしたらいいか分かんなくて」
「誰!?え、誰!?」
「それは内緒なんですけど」
「えーー!地元の子?芸能人?ファン?アナウンサー?」
「だから言わないですって」
「まじか、え、でも翔陽くんがベタ惚れってことなん?」
「……ウス」
「キャーーー!荒れる、荒れるで!バレーボール協会!大荒れやで!」
「あーもう相談する相手間違えました!」
日向と三宮葉月こと"みのりちゃん"が一緒にご飯を食べに行ったりするのも気が付けば両手の数ほどとなったある日、そろそろ本気で告白をしたいと思った日向は日々悩んでいた。
明らかにみのりが自分に恋愛感情を向けていないことは日向も十分分かっていた。しかし日向としてはもうそろそろアクションを起こして次のステップに進みたい、そう考えていた。
「まてまて、翔陽くん。この宮侑様がそのお悩みしかと聞いてやろう」
「………楽しんでますよね」
「いんや?で、どういう状況なん?落とせそうなところをアプローチするんか、前途多難の方なんか」
「………前途多難のほうで」
「まじか」
「っす」
「ちなみに嫌われてるんか、それもと好かれてるけど相手にされてないんか」
「恐らく後者っすね」
「ならパターンは2つや!1、相手に自分がいつまでもフリーでおるっちゅう余裕を無くさせる、2、攻めて攻めて攻めまくる!この2つしてもあかんかったらきっとそれは無理や」
「…………1はどうすれば……」
「目の前で女の子と連絡取ってる風とかにしたらええやろ」
「う………、んな器用なことできっかなぁ」
ただそんなことをして例えばやっぱり遊びで近寄ってきてたのかと思われたり前みたいにチャラいなどと勘違いされるのだけは嫌だ、と日向は頭を悩ませた。
「どうなったか速報教えてな」
「うす」
「あ、三宮葉月、新作やって」
「!?」
「まーた大学生ネタやなぁ、まあ現役って売り方されてるしそれもそうなるか」
「……………」
「翔陽くん?」
「……………嫌だなぁ」
忘れていたわけじゃなかった。彼女の仕事がAV女優だということを。しかし彼女とご飯に行くようになってから日向は彼女のAVを見なくなったしそもそも抜く時は実物の彼女を考えながら想像でしていた。AV女優相手に何を言ってるのかと思うかもしれないけど彼女を好きになればなるほど他人とする姿を見たくなくなってしまった。
推し変したん!?と宮におちょくられながらもそれをかわし帰宅した。スマホをチェックするとみのりからの連絡が入っていてそれは昨日のやり取りの続きの内容だった。しょうもないこと、暑くなってきたからあれが食べたいとか。そういうしょうもないことを話してる裏側で彼女は今日も仕事でセックスをしているのかもしれないと思うと胸が苦しくなった。
そうすると何故かうまく返信することが出来なくなってしまってここ数ヶ月ほぼ毎日のように連絡をしていたラインを止めてしまった。それももう気がつけば1週間が経っていた。
その日も日向は練習を終え家に帰ろうとした。その時だった。
「日向さん」
「………みのり、ちゃん」
「久しぶりですね」
「あーうん。こんなところでどうしたの?」
「………日向さんのこと待ってました」
「え、俺?」
「どうして連絡返ってこなくなっちゃったんですか」
「あーー………」
「わたし、何かしました?」
「………………」
「………もういいです、さようなら」
「っちょ、まって!」
日向は手を伸ばすと勢いよく振り切られそのままみのりは走りだした。ぽかんと一瞬呆気に取られるも、このまま逃したら一生出会えない気がして日向も慌てて後を追いかけた。