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「合宿どうだった?」
「ん〜楽しかった。」
「楽しかったんだ。」
「強い奴と一緒に練習すんのはすげえ楽しい。」
「そっか〜…ねえ、影山くん、この体制すごくしんどくない?」

ご飯も食べ終わり、お風呂も入ってソファでゆっくりしているところなんだけど、影山くんが私を足の間に座らせ後ろから抱きしめるような形で腰に腕を回し、頭を私の肩に乗せていた。

「全然。」
「な、らいいんだけど…。」
「辻川明日家にいるか?」
「明日は仕事だよ。終わったら帰ってくるね。」
「明後日は?」
「…明後日も仕事。」
「えー。」
「えー?ごめんね、1カ月前なら有給取れたんだけど…。」
「ユウキュウってなんだ?」
「働いてなくてもお給料が入ってくる休日のこと。」
「すげえな。」
「ね〜、今年はまだ1回も使ってないから影山くんに合わせるね。」
「おう。でも明日も明後日も休みなのに辻川いないんならトレーニングでも行くか。」
「え、休みは休まないといけないんじゃないの?」
「なんかもう辻川と会ったら元気出た。」
「気のせいだよ、体休めないと。」
「ん〜、辻川って会社どこだ?」
「え、っと…東銀座だよ。」
「ちけえじゃん。」
「うん。前の家より近くなったから助かってます。」
「じゃあ帰り迎えに行く。」
「え!?」

私は思わず振り返ると、影山くんの顔が近距離にあって思わず赤面する。本当に綺麗な顔すぎて女の私からしても羨ましくて嫉妬しそうだ。

「ダメか?」
「ダメです。」
「何で。」
「影山くんは有名人だからです。」
「そんなことねえ。」
「そんなことあるの!私の会社の同期も影山くんのファンだし、絶対にダメ。」
「…じゃあ駅まで。」
「九段下?」
「東銀座。」
「却下。」
「何でだよ!」
「一緒に電車に乗って声掛けられたりしたら危ないでしょ!」
「前だって乗った。」
「前は、…断れなかったし。今はもう影山くんにちゃんと断れるような関係になったから、言うよ。」

そういえば影山くんは腑に落ちないような顔をしていて、でも納得してくれたみたいで九段下までは来ることになった。

「じゃあ今日は俺の言うこと聞いてくれ。」
「…いつも聞いてるよ。」
「ソウデシタ。」

そういって私たちはどちらからともなくキスをした。