初めて、男の子のことを綺麗だと思った。
彼のことを初めて見たのは、中学生の時。近所に住んでるお兄ちゃんみたいな存在である孝支くんが中学生の試合を見に行くと言ってそれについて行ったときのこと。スポーツ観戦なんて普段しないからドキドキしながら澤村先輩と田中先輩と一緒に試合を見に行ったことを今でも覚えている。
そこで吸い込まれるように彼、影山飛雄くんに全てを魅了された。まるでボールが生きているかのようにコートを飛び交う。私は彼から目が離せなかった。孝支くんに声を掛けられるまで、暫くそこから動けなかった。
また彼のプレーを見たい。どうしても見たい。私はその日からそれだけを思って中学時代、大会の日程を調べては体育館に足を運んだ。
影山くんの最後の大会の時。いつも通り綺麗なプレーから周りとの熱量の差で均衡が崩れた音がした。影山くん自体も崩れ、コートを去ったその姿がどうしても見ていれなくて私は気がつけば2階の観客席から、選手が出てくるドアに向かって走った。こんな形で影山くんをもう見れなくなるのは嫌だった。
「あ、あの!」
「……。」
「影山、くん。」
「…誰。」
「あ、えっと私は影山くんのファンで、ずっと試合見てました。」
「……。」
「いつも綺麗で、影山くんがボールを触るとまるで生きているみたいで、本当にすごく感動して、」
「お前、今日の俺の試合見てたんだろ?それでもそんなこと言うのかよ。」
「……あの、」
「お前みたいな何も知らないやつからそんなこと言われるのが1番ムカつくんだよ。」
いつも見ているだけだった綺麗な影山くんは、実際に話してみると凄く怖くて、私が想像していたものとは違っていた。ただ「この試合が全てじゃないから、これからもバレー続けてね。頑張ってね。」それだけを言いたかったのに。私は足が竦んで動けなくなっていた。影山くんは私の方なんて見向きもしないで、体育館を去ってしまった。
それが去年の話。
まさか影山くんが同じ学校に進学していたなんて、この時の私は知る由もない。