「あれ、孝支くんはもう行っちゃった?」
「みのりちゃんごめんね〜、孝支今朝からやけに早く家出てて行っちゃったのよ〜。ご飯食べていく?」
「ううん!今日は朝ごはん自分で作って食べてきたよ!いつもありがとう!」
「いーえー。もうみのりちゃんはうちの家族みたいなものだから何でも頼ってね〜!」
「はーい!」
うちは離婚をしていて、お父さんと2人暮らしをしているんだけど、今年の4月から東京に出張に出てしまい実質ほぼ1人暮らしみたいになっているため孝支くんの家族が私のことを優しく受け入れてくれることが多かった。
なるべく自分でやることはやろうと思っているけど、孝支くんとは家が歩いて30歩くらいの距離だから週の半分は菅原家にお世話になっている。
やっと同じ学校に進学したのに、一緒に登校できないのは寂しいなあと思いながら1人で学校へと向かった。
「みのりおはよ〜今日も早いね〜。」
「あやちゃんおはよう。朝練お疲れさま。今日はパウンドケーキ作ってきたよ!」
「やったーみのりクッキング最高!いただきまーす!」
同じクラスで仲良くなったあやちゃんは、ソフト部に入っていて毎朝朝連があるらしい。文武両道で進学クラスでいて部活もしっかりやっているあやちゃんのことを早くも敬意を感じてしまう今日この頃である。
「まじでみのりソフト部のマネジになってくれればいいのに〜。」
「え〜嬉しいけどあやちゃん専用だからなあ。」
「うっ…それ私男だったら完全にみのりのこと好きになってるわ。」
「あはは、私はあやちゃんのこと大好きだよ?」
「みのり〜!わたしも〜!!」
予令が鳴り、私たちは席に着く。隣の席は既にうちのクラスで女子人気を集め始めている月島くんだ。私からしたら背が大きくて少し怖いって印象なんだけど、クールなところが好きという女子が多いらしい。
「辻川さんってさ、」
「は、はい。」
「…びびりすぎじゃない?」
「へ?あ、そ、うかな。」
「まあ別にいいけど。3年の菅原さんって知り合い?」
「え、菅原孝支、のことかな。バレー部の。」
「そう。あ、やっぱ辻川さんのことだったんだ。」
「孝支くんが、なにか?」
「いや?あまりにも菅原さんが辻川さんのこと話すから俺の隣の席の辻川さんのことなのかって気になってね。」
「え、月島くんはバレー部なの?」
「まあ一応。」
「そうなんだ〜。孝支くん、私のこと何て言ってるの?」
「随分溺愛されてるんだね。自慢話ばっかだよ。」
「…孝支くんにやめてって言うね。」
まあ無理だと思うけどって言ってふと笑った月島くんは、思っていたより話しやすくてとげとげしているイメージは少し薄れた。
中学の頃は何度かバレー部に顔を出しに行ってたけど、高校に入ってからはまだバレー部に顔をだしに行ってなかったし、今日言いに行こうかなと思った。